Czerny, Carl
カール・ツェルニー
オーストリア 1791-1857
作曲家、ピアニスト、教育家。
ウィーンに生まれる。父はピアノ教師で、ヴァイオリンやオーボエもこなした。幼少より父から音楽の手ほどきを受ける。1800年、9歳でウィーンでモーツァルトのピアノコンチェルトK491を弾きデビュー。1800〜03年、ベートーヴェンに師事、演奏の腕を上げる他、作曲、管弦楽法を身につける。フンメルやクレメンティからも学ぶ。15歳より父に代わってピアノを教える。その後ベートーヴェンの甥カールの音楽教育も任され、ベートーヴェンのピアノコンチェルト第5番「皇帝」のウィーン初演のソリストもツェルニーだった。リストを育てたことでも知られ、リストの超絶技巧練習曲はツェルニーに献呈されている。ショパンとも交流があり、互いに影響を与え合った。ピアノ教師として活躍したが、貴族階級へのレッスンは精神的な疲労を招き、1836年にはピアノ教師としての活動は停止、作曲に専念する。温和で人が良く気が弱かったと伝えられ、師や弟子のように派手な活動はしなかったが、その後の音楽界に大きな影響を与えたといえる。特に、当時はピアノという楽器の成長期であり、その新しい楽器の奏法技術を整理分析体系化し、テクニックに焦点をしぼり追求したエチュードを残し、またその後のピアノ界で活躍した多くの弟子を育てたことで、ピアノ界への貢献は非常に大きい。作品は、多くのピアノ曲、交響曲、室内楽曲、ミサ曲、劇音楽などがあり、ジャンルは幅広い。突出して知られるピアノ練習曲のイメージのみが定着し誤解を招くこともあるが、本来は柔らかな美しい曲を書き、著作も残した多作家である。
代表作:
◆ピアノエチュード
技巧の練習曲 Etudes de Mecanisme (30番練習曲) Op.849
熟練の手引き Die Schule der Gelaeufigkeit(40番練習曲) Op.299
指の熟達のための技法 Die Kunst der Fingerfertigkeit (50番練習曲) Op.740
その他多数
◆ピアノ曲
ソナタ第1番 変イ長調 Op.7
ソナタ第2番 イ短調 Op.13
ソナタ第3番 ヘ短調 Op.57
ソナタ第4番 ト長調 Op.65
ソナタ第5番 ホ長調 Op.76
ソナタ第6番 ニ短調 Op.124
ハイドンの主題による変奏曲 Op.73
ピアノ協奏曲 イ短調 Op.214
◆管弦楽
交響曲第1番 ハ短調 Op.780
交響曲第2番 ニ長調 Op.781
交響曲第5番 変ホ長調
交響曲第6番 ト短調
◆著書
作曲教程 全4巻 Vollstaendiges Lehrbuch der musikalischen Komposition 1834
ピアノレッスンのための10の手紙 10 Briefe ueber den Unterricht auf dem Pianoforte von Anfang bis zur Ausbildung als Anfang zu jeder Klavierschule umfasst. 邦訳「若き娘への手紙」 全音楽譜出版社
ABC索引へ戻る
50音索引へ戻る
作曲家名簿TOP