【あらすじ】
時と場所:妖精の居る森
第1幕 夕暮れの森
夕暮れの森で妖精達が「丘を越え、谷を越え」と歌っている。そこに妖精の王オーベロンと女王タイテーニアが登場する。王と女王はインドの王家から盗んだ赤ん坊を巡って口論をしている。タイテーニアが怒って赤ん坊を抱いたまま行ってしまうと、オーベロンはタイテーニアを懲らしめようと、いたずら者の妖精パックに魔法の薬草を採りに行かせる。その薬草には媚薬効果があり、寝ている間に瞼に塗ると、目覚めて最初に見た者に恋をしてしまうのだった。パックは急いで薬草を採りに行き、オーベロンは森の中に姿を隠す。そこにハーミアとライサンダーと言う若い男女が逃げ込んで来る。ハーミアは父親からディミートリアスという青年との結婚を命じられそれを拒むが、アテネの法律では親の命に背くと死刑に処されるため、恋人ライサンダーと駆け落ちをしてきたのだった。二人は抱き合い愛の二重唱「私の愛は?」で今までの経緯(原作では1幕で演じられる部分)を歌う。ライサンダーは未亡人の叔母のところに身を寄せて結婚しようとハーミアにプロポーズする。二人は固く愛を誓い、手を取り合って去っていく。次にハーミアの父が決めた婚約者ディミートリアスと彼を慕う女ヘレナがやって来る。ヘレナはかつての恋人ディミートリアスに今も夢中で「あなたのスパニエルです」と必死に愛を訴える。しかしディミートリアスは嫌悪感を露わにし「お前を愛することはもう出来ない!」とヘレナを足蹴にして、駆け落ちしてしまったハーミアを追って行く。そんな恋人達の様子を窺っていたオーベロンは、パックに「採って来た薬草をディミートリアスの瞼に塗り、ヘレナとの仲を取り持ちなさい」と命じる。オーベロンとパックが去ると、アテネの職人達六人がやって来て「みんな揃ったか?」と陽気に歌い、大公殿下の結婚式に演じる芝居の準備を始める。演目は最も悲劇的な喜劇「ピラムスとシスビー」。早速台本を配り、配役を決め練習を開始する。その頃、逃避行に疲れたハーミアとライサンダーが森の中で眠りにつくと、パックが現れ、間違ってライサンダーの瞼に媚薬を塗ってしまう。一方恋しいディミートリアスに突き放されたヘレナは「私は熊のように醜いから」と嘆きながら森を彷徨っている。そして眠っているライサンダーを見つけると「死んでいるの?」と驚いて揺さぶり起こす。目を覚ましたライサンダーは、媚薬の効果でたちまちヘレナに恋をする。訳のわからないヘレナは「あなたが愛しているのはハーミアでしょ!」と逃げ出す。一人目覚めたハーミアは居なくなったライサンダーを錯乱状態で探しに行く。森の夜は更け、タイテーニアは妖精達を引き連れ、腕に抱いた赤ん坊に子守唄を歌いながら眠りにつく。そこに現れたオーベロンはタイテーニアの瞼に媚薬を塗り「下劣なる物が近付いた時目覚めよ」と歌い、赤ん坊を連れ去る。

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