<第3幕>朝の森
夜明けが迫る森、オーベロンが赤ん坊を抱いて現れる。腕で眠る赤ん坊に心満たされたオーベロンは、タイテーニアにかけた邪悪な魔法を解く。目を覚ましたタイテーニアが横に眠るロバの化け物を怖がるので、パックがボトムを人間に戻す。オーベロンとタイテーニアは仲直りをし、踊りながら去っていく。雲雀の声が朝を告げ、四人の恋人達も目を覚ます。媚薬のおかげでディミートリアスはヘレナを愛し、魔法を解かれたライサンダーとハーミアは元の鞘に収まっている。四人はお互いを「宝石のように大切な人」と称え、手を取り合ってアテネに帰って行く。一方人間に戻ったボトムは戸惑いながら「ボトムの夢」を歌い甘い思い出に酔う。その頃職人の仲間達は行方知れずのボトムを心配している。そこにボトムが「大公殿下の結婚式の出し物に選ばれた」と朗報を持って戻って来るので、仲間達は大喜びで準備にかかる。宮殿では大公シーシュースとアマゾンの女王ヒポリタが仲睦まじく抱き合っている。そこに恋人同士の四人がやって来る。シーシュースは四人の関係を見て訝るが、説明を聞いて納得し一緒に結婚式を執り行うことにする。晩餐の時、職人達が現れ演劇「ピラムスとシスビー」が始まる。 ピラムスとシスビーの家は敵同士であったため、二人は両家を隔てる塀越しに、愛を囁き合い、キスを交わしていた。ある月の明るい夜、二人は駆け落ちを決め、人目を忍んで墓の前で待ち合わせる。先に約束の場所に現れたシスビーはライオンに襲われ逃げて行く。遅れてやって来たピラムスはシスビーの血のついたコートを見つけ、てっきり彼女がライオンに噛み殺されたと早合点をし、胸を剣で突き自害してしまう。そこにシスビーが戻り、死んでいるピラムスを見つけると、シスビーもその剣で胸を貫き自害して果てる。 最も悲しい喜劇がドタバタのうちに幕となり、職人も大公達も一緒にベルガマスク舞曲で踊りだす。宴が終わり、職人達が帰ると大公達も恋人達も寝室に引き上げる。夜の帷が森を包みオーベロンとタイテーニアが妖精達を引き連れて現れる。美しく幻想的な妖精達の合唱とオーベロンとタイテーニアの二重唱が「夜が明けるまで、平和と愛に満たされて休息を」と恋人達を祝福し去っていく。パックが現れ「これまでの事は全て、たわいもない戯れ、つかの間の夢。どうぞ気分を害されませんように」と口上を述べ幕となる。

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