第2幕
牧歌的な風景の中で、愛し合うエーシスとガラテア。しかし幸せは長くは続かなかった。人々は「悲運の恋人よ、喜びも静かなる夢も去る。」と短調のフーガにより警告する。すると怪物ポリフェムスが地響きを立ててやって来る。山や森は揺れ、波は海岸を打ち砕く。雷鳴のような巨人の怒声が響き、悲劇は始まる。長年ガラテアに想いを寄せていたポリフェムスが嫉妬に狂い、レチタティーヴォで「我は怒り!溶け!燃え上がる!」と語り、ガラテアは我が愛であると叫ぶ。続くアリア「さくらんぼより赤く」では「夜の月よりも輝く人。滴る果実より豊潤で、あなたほどに輝く百合は無い。しかしあなたは未だかたくなで、荒れ狂う嵐のようだ」と熱い想いを訴える。何とかガラテアの心を掴みたいポリフェムスは恋しい人を宴会に誘うが、ガラテアは「赤子を貪り、乙女の血を飲みほすような宴会の主人も、御馳走も大嫌いです!」と完全にポリフェムスを拒否する。業を煮やしたポリフェムスが力ずくでガラテアを奪おうとすると、先程の羊飼いデイモンは冷静に「か弱いあの子を手に入れたければ」を歌い、愛する人を無理やり束縛せず、優しく親切に扱わないと、色褪せた魅力しか引き出せないと助言する。血気盛んなるエーシスは、巨人の醜悪な愛が怒りを煽るのだと戦意に燃え「愛は警鐘を鳴らし、美しい恋人を勝ち得る時、恐れは消え去る。宝物を守るために、私のすべての血を流そう」と歌い、愛する喜びがなければ、人生は苦痛に埋もれるだけなのだと告げる。何とか友人を守りたいデイモンはエーシスに向かい「羊飼いよ!愛する女性を求める一瞬の喜びのために、計り知れない苦悩に満ちた人生を送るのですか?」と忠告するが、エーシスは友人の警告を無視し、戦いを決意する。エーシスとガラテアは永遠の忠節を誓い「羊の群れは山を去り」を二重唱し、二人の愛が運命に見放される前に、山の羊たち、森の鳥、妖精達はこの泉を去るだろうと苦悩を歌う。嫉妬に狂うポリフェムスは「耐えられない拷問だ!」と強引に二人を引き裂き「思い上がったエーシスに死を!」と叫び残忍にも、岩でエーシスを押しつぶしてしまう。エーシスは「ガラテアよ救い給え。神よあなたの深き懐へ」と言い残し息を引き取る。残されたガラテアは「私はエーシスのことを永遠に、嘆き悲しまなければならないのか!」と愛する人を失った悲しみを歌う。人々は悲嘆にくれるガラテアに「あなたの力を思い出して下さい」と告げるので、ガラテアは「この絶望の中で何を慰めとするのですか」と問い返す。すると人々は、ガラテアにはエーシスを美しい泉に変える力のあることを思い出させる。その言葉に勇気づけられたガラテアは魔力を使い、愛するエーシスを泉の清らかな水として甦らせる。ガラテアはエーシスに永遠の命を与え、その喜びを「心よ、ささやかな喜びの住まい」と歌う。人々は「涙は乾き、エーシスは神として現れた。優しく愛を囁く小川のざわめきよ。羊飼いは喜び溢れる」とエーシスが泉となって得た永遠の命を讃美し幕となる。
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