第3幕
辛くも逃れた公妃は、今夜の夜会でアドリアーナの声を耳にした途端、あの夜の女が彼女であったことに思い当たる。そしてその事実を確かめようと、マウリツィオは決闘で重傷を負い今夜は来られないと嘘をつき、アドリアーナの顔色を伺い間違いがないことを確信する。しかしその時重傷と言われたマウリツィオが姿を見せ公妃と小声で親しげに話をする様子を見て、アドリアーナは内心おだやかではない。そしてあの夜逃がした女が公妃であったことを確信する。広間の舞台ではギリシャ神話「パリスの審判」によるバレエが踊られる。バレエは最後に黄金のリンゴはどの女神にも与えられず、慣習に従いパリスの手から宴の主人公つまり公妃に手渡される。しかしその間に公妃とアドリアーナは互いに恋敵であることを確かめ合う。バレエが終わりパリスからリンゴを受け取った公妃はアドリアーナに「捨てられたアリアドネ」の朗唱を求める。しかしアドリアーナはとっさにラシーヌの<フェードル>の一節を鋭い調子で朗唱し公妃に当てつけをする。
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