9.ゆりかごのシーン
自由奔放な生き方を貫こうとするジプシーのゼムフィーラは、変わらぬ愛を要求するアレコに怒りをぶつける。口論の末、ゼムフィーラは若い男への愛を神秘的な旋律で歌いあげ去って行く。
10.アレコのカヴァティーナ
みなが寝静まった夜の野営地に月だけが輝いている。アレコは一人悲しみに打ちひしがれて、ゼムフィーラとの愛の日々を懐かしむ。ここで歌われるアレコのカヴァティーナは、この作品中も最も有名な聴きどころであり、その哀愁に満ちたバリトンの歌声が感動的である。
11.間奏曲
夜もしらみ始め、月も姿を消す。管から弦へと静かなテーマが流れ、若いカップルが愛の舞いを踊る。ハープのグリッサンドが明けゆく夜の情景を効果的に演出する。
12.若いジプシーの甘美な楽曲
ハープの軽快なワルツ。若い男のジプシーが「月の巡りを止められぬように、愛の移ろいをとめることは誰にもできない」と歌う声が遠くから聞こえてくる。
13.二重唱と終曲
夜が明けて、ゼムフィーラは若い男との駆け落ちを決め、二重唱を歌う。そこにアレコが現れ激しくゼムフィーラを責める。未練はないとアレコを突き放すゼムフィーラに、アレコは取りすがり、愛を取り戻そうとする。しかしゼムフィーラは若い男とともに、そんなアレコを憐れみ「哀れなアレコ」を二重唱する。憎しみに我を失いアレコはついに若い男を殺傷する。そして恋しい男を殺されて泣き叫ぶゼムフィーラをも刺してしまう。ジプシー達が起きだしてくると、その惨状に「世にも恐ろしい出来事が起った」と騒ぎ出す。ゼムフィーラの父親が血を流す娘のもとに駆け付ける。「お父さん!私は嫉妬に殺されたの」と言い残し、ゼムフィーラは息を引き取る。最愛の人を自ら手にかけてしまったアレコ。愛しいゼムフィーラの名を繰り返し呼ぶアレコの声が哀切を極める。ジプシーの男たちは殺された二人の墓を掘り、女たちは死んだ二人の目を閉じる。そしてジプシーの老婆が「最後のキスを」と歌う。ゼムフィーラの父親は「ジプシーに掟はない。だから罪は責めないが、殺しを犯した者と暮らすことは出来ない」と深い悲しみを歌う。ジプシーたちの合唱がこれに和し、「おまえはここから去れ」と歌う。やがてアレコ一人を残しジプシー達は退場する。残されたアレコは絶望のうちに、「悲しみよ!憂いよ!またしても独り」と歌う。再び冒頭の「老ジプシーのモチーフ」が流れ幕となる。
RETURN
オペラ名曲辞典TOP