【あらすじ】
時と場所:1789年パリ郊外(第1幕)と1794年パリ(第2,3,4幕)
第1幕 パリ郊外のコワニー伯爵の城
コワニー伯爵夫人の指図で夜会の準備が進む中、当家の召使ジェラールが、民衆の苦しみを顧みず快楽に明け暮れる貴族生活への憎悪と、我が身の境遇に不満を募らせ苛立っている。そして、老いてなおコワニー家のために働き続ける父親の姿に耐えかね暴言を吐く。そこに幼いころから共に育った美しい伯爵令嬢のマッダレーナが現れる。身分違いのかなわぬ恋。ジェラールはマッダレーナにその想いを告げることも許されない。
いよいよ夜会が始まり、芸術家や僧侶たちが来賓として訪れてくる。時はまさにフランス革命へと突き進み不穏なニュースも囁かれるが、それを払拭するかのように人々は陽気にふるまっている。一人にぎわいをよそに詩人のシェニエが黙り込んでいるのを見たコワニー夫人は、即興詩を披露してくれるように話を向けるがシェニエは応じない。令嬢のマッダレーナがそれならば私がと、愛という言葉を使って即興詩を作るように再度持ちかける。シェニエは「詩情は愛のように気まぐれ」とマッダレーナのからかい半分の態度に落胆しながらも、アリア「ある日、青空を眺めて」を歌う。シェニエの歌は、美しい青空と大地への賛美から、次第に貴族社会への厳しい批判となっていく。そしてマッダレーナに「あなたは愛をご存じないのですね、愛とは神様がお与え下さるもの」と言う。自らの信念を曲げることのない詩人シェニエの心情があふれる名アリアである。臨席の人々のひんしゅくをよそにマッダレーナはシェニエの堂々とした高潔さに惹かれて、自分の軽薄さを詫びる。
場の雰囲気を取り戻そうとガヴォットが奏でられる中、ジェラールが民衆を連れて現れる。召使の服を脱ぎ棄て去っていく。コワニー夫人はジェラールを恩知らずだと非難するが、しかしまた何事もなかったかのようにガヴォットが流れ、夜会は続いていく。
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