第2幕/ダマスカス郊外
敵の捕虜となっていた仲間を救い出した十字軍戦士のルノーは、その内の一人アルテミドルに、自分をおいて自軍の基地に戻るよう言う。ルノー本人は、十字軍総指揮官のゴドフロアに追放されている身なので、基地には戻れなかった。アルテミドルはルノーに「アルミードには用心しろ」と忠告するが、ルノーは「私は自由を愛する J'aime la liberte, ..」と歌い、魔法など恐れぬと笑った。
一方アルミードとダマスカス王のイドラオは、魔力を使ってルノーを倒そうと悪霊たちを呼び寄せた。そして美しい田園風景を眺めているルノーの元へ、羊飼いや水の精などの精霊に扮した悪霊が現れ、歌や踊りでルノーを眠りの世界へと誘う。のどかに流れる小川のせせらぎや、美しい小鳥のさえずりを聞いている内に、ルノーはそのまま眠ってしまう。そこへアルミードがやって来た。アルミードは寝ているルノーをひと思いに刺そうとするが、口から出て来る復讐の言葉とは裏腹に、どうしてもルノーを殺すことができない。アルミードの心は、既にルノーを愛する気持ちでいっぱいになっていた。アルミードは復讐できなかった自分を恥じたが「ルノーを殺すことができないのならば、彼が自分を愛するよう魔法をかけて戦場から遠ざけよう」と考え、悪魔たちを呼ぶと「私とルノーを風と共にどこか遠い所へ運んでくれ」と頼んだ。
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