時と所:古代フリギア
プロローグ/時の神の宮殿
 時の神ル・タンを囲み、昼の時間の精と夜の時間の精が、勇者(ここではルイ14世)を讃え歌っている。西風の神ゼフィールに導かれ、沢山の妖精と共に花の女神フロールもやって来た。フロールは「まだ寒い時期ですが、春になると王が出征してしまうので、早めにご挨拶にやって来ました..」と可憐に歌うが、そこへ悲劇の女神メルポメーヌが、従者や過去の英雄たちを引き連れ現れ「シベル女神の悲劇を聞いてくださいな!」と話し出し、フロールの歌は中断されてしまう。すると大地の女神シベルの命でやって来た、虹の女神イリスが「シベル女神は争いがお嫌いですよ。さあ一緒に王のために歌いましょう!」と2人を和解させ、プロローグが終わる。
第1幕/シベル女神を祭る山の麓
 河の神サンガールの娘サンガリードは、フリギアの王であるセレニュスとの結婚を控えているが、実は他に想いを寄せる相手がいて、王との結婚はその人を諦めるためにするようなものだった。サンガリードは、その切ない気持ちを親友の妖精ドリスに打ち明けると「でも彼は私に全く気がないから、かえって諦めもつくの」と笑ってみせた。そこへ大地の女神シベルが降臨することを、人々へ知らせに回っているアティスがやって来た。セレニュス王の親友でもあるアティスは「フリギア中の人々が、王とサンガリードの結婚を祝っていますよ」と2人に言うと、続けて「私はもうすぐ死ぬので、最後にサンガリードに告白したいことがあります」と告げる。驚く彼女にアティスは「今まで恋になど興味がないと言っていたのは、貴女を愛する気持ちを隠すためだったのです。貴方を愛するが故、私は自ら死を選びます!」と告白した。それまでにアティスが「失恋をした…」と打ち明けていたのは、ドリスの兄である友人のイダスのみ。サンガリードはその事実を聞き、胸が押し潰されそうになった。彼女の諦めようとしていた想い人こそ、このアティスだったからだ。サンガリードの頭の中からは全てのことが一瞬で吹き飛び「私も貴方を愛しています!」と言うと、2人は互いに相手への溢れる想いを口にし始めた。
 その時、山頂が光り出し、天からシベル女神が降臨した。人々が女神を讃える中、シベルは神殿へと入っていく。
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