【あらすじ】
時と場所:14世紀、イタリアのフィレンツェ
第1幕 教会前の広場
今日はセントジョーンの祝日。お祭りにわく広場を、学生のレオネットが人目を忍んで床屋に入って行く。床屋の女房ベアトリーチェは主人の留守をいいことに、レオネットとの情事を楽しもうとしていた。にぎやかな広場に本の行商人がやって来ると、実名入りゴシップ小説で人気の ボッカチオの最新作を求めて女達が殺到する。だがネタにされる男達は、「ボボッカチオの話は、真っ赤な嘘だ!」と憤慨し、本屋を壊そうとして女達に止められる。当の ボッカチオは、自分の小説が巻き起こす騒動を遠くから眺めて面白がっていた。本屋が行ってしまうと、 ボッカチオもまたベアトリーチェの待つ床屋に忍び込んで行った。
そんな事とは知らぬ床屋の主人スカルツァは、ピエトロ王子のお供でピサに出かけていたが、一日も早く妻に会いたいと予定を繰り上げて帰ってきた。「帰ったよ!」と妻を呼ぶスカルツァ。しかし返事がないので広場に居合わせた桶屋の主人ロッテリンギ、食料品屋の主人ランベルトゥッチョとともに「三馬鹿の歌」として知られるセレナーデを歌う。ベアトリーチェは夫の帰宅に慌てながらも機転をきかせ、「見知らぬ二人の男達が押し入って来た!」と悲鳴をあげてスカルツァの胸に飛び込んで来る。レオネットと ボッカチオはマスクをして、争うまねをしながら野次馬の間をぬって逃げ出す。人ごみに紛れてマスクを外した ボッカチオのところへ、学生達が小説の書き方を教えて欲しいと集まって来る。 ボッカチオは「本当の経験を書けばいいのさ」とうそぶく。
教会の鐘が鳴り、お祈りに向かう人々の中に美しく可憐な娘フィアメッタがいた。フィアメッタは食料品屋の養女として育てられているが、実は公爵の落とし子であった。最近養育費を運んで来る使者から、見知らぬ貴族との結婚話が進んでいる事を知らされ、フィアメッタは愛のない結婚など考えられないと、アリア「恋はやさし野辺の花」を歌う。可憐なフィアメッタに魅せられたボッカチョは優雅な紳士を演じ、フィアメッタは ボッカチオを運命の人だと思い込んでしまう。やがて礼拝が終わり人々が教会から出てくる。そこにフィアメッタの見合い相手ピエトロ王子が現れる。王子は身分を隠してシシリーの学生だと名乗り、人気作家 ボッカチオに弟子入りを申し出る。 ボッカチオは「恋の実践を積め!」と言って、ピエトロ王子に桶屋の女房イザベッラを紹介すると、二人はたちまち惹かれあう。
一方男達は ボッカチオ追放を市長に嘆願するが認められず、自分たちで懲らしめようと団結する。そして学生らと居たピエトロ王子を ボッカチオと間違え袋叩きにしてしまうが、人違いに気付き平謝りに謝る。怒りの収まらない男達は、本屋の手押し車に火を付け、 ボッカチオの本を焼き尽くす。遠巻きにしていた ボッカチオは「話の種は灰の中から不死鳥のように蘇るさ。」とあざ笑うのだった。
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