第2幕
セビーリャの町外れにある、リリアス・パスティアの酒場。第1幕から約2ヶ月、ホセはカルメンを逃がした罪で営倉送りになっている。カルメンは逃げた後、密輸入業者の仲間に入っている。カルメンとフラスキータが片隅で客と酒を飲んでいたが、やがて音楽が高潮して、有名な「ジプシーの歌」になる。間もなく閉店の時間となり、隊長スニガが女たちを誘うが断られ、カルメンにホセが牢から解放されたことを告げて出ようとすると、「闘牛士万歳」の声とともに、エスカミーリョが意気揚々と登場する。そして彼は闘牛士の勇敢さを称えた「闘牛士の歌」を歌う。カルメンは、またエスカミーリョの男らしさにも強く惹かれる。
闘牛士の一団が退場すると、酒場にはカルメン、フラスキータ、メルセデスが残る。するとそこへ密輸入業者のダンカイロとレメンダートが現れ、女たちに仲間に加わらないかと誘う。しかしカルメンは、牢にぶち込まれたときに助けてくれた伍長に惚れてるからと断り、皆は驚いてしまう。するとそのとき遠くで「アルカラの竜騎兵」を歌うホセの声が聞こえてくるので、一同はカルメンを残して別室に引き下がる。カルメンはホセが到着すると、いそいそと喜んで彼を迎える。そしてカスタネットを打ち鳴らしながら、歌いながら踊る。これが「カスタネットの踊り」である。ところがそのとき帰営を告げるラッパが聞こえ、顔色を変えたホセはそわそわし始める。このホセの態度を見て怒ったカルメンは、こんなに一生懸命もてなしているのにと、彼の帽子や剣を手当たり次第に投げつける。
するとホセは突然跪いて、ポケットからしおれた例の紅い花を取り出して、「君が投げたこの花を、僕は牢の中で日夜眺めていた」と愛を告白する。これがテノールの名アリア、「花の歌」である。カルメンもそれを聴いて胸を熱くするが、もしもその気持ちが本当なら、自分と一緒に山に行って、自由な生活を楽しもうという。だがホセは反対で、脱走兵になるのはいやだと帰ろうとする。そこへ隊長のスニガが入って来る。スニガはホセに帰れと命令するが、ホセはいやだと反抗し、二人は剣を抜いて決闘を始める。カルメンの悲鳴を聞いて、密輸入業者の連中がかけつけ、ホセを助けてスニガを放り出してしまう。こうしてホセは結果的に、密輸入業者の仲間入りをすることになる。そして一同は「山へ行こう」と、自由を謳歌するのであった。
(C)出谷 啓
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