突然、舞台裏でトランペットの音。一人の下士官が登場し、直ちに騎兵隊の宿舎を用意せよとの命令を伝えて退場。
村長は、この騎兵隊も賢者ピンセーノ(彼にとってはピンセーロでもピンセリーノでも構わないのだ)が派遣したものだと言う。座長は、あれは本物の騎兵隊であって奇蹟芝居の登場人物ではない、と説得しようとするが、村長は主張を曲げない。混乱している所へ下士官が戻ってくる。もう一度ヘロディアスを出現させて下士官にも見せてやれば、もし本物の騎兵隊だったとしても、美女の踊りが一種の賄賂になって早めに撤退してくれるだろうという参事の提案を、苦しい立場に追い込まれた座長は、渡りに舟と承諾する。
再び踊り。全員が手拍子ではやしながら、次第に舞踏のエクスタシーにひたって行く。そのクライマックスで下士官はつぶやく。「この人々は狂っているのだろうか…?」
娘の姿なんかどこにも見えないという下士官に向かって、人々は口々に「悪魔に呪われた奴め」「奴は例のあれだ」と罵倒の言葉を浴びせかける。名誉を傷つけられて怒った下士官は、剣を抜いて村人と乱闘。この混乱に乗じて、村長は忌まわしい楽師を棍棒で殴る。下士官転倒。
人々が退場して空っぽになった舞台に、座長とその妻が残る。「この芝居は大成功だったなぁ。この調子なら明日は村中の人間を集めて芝居が打てるぞ…」
─これは、どこかの国のどこかの地方で、昔あったお話。今もあるお話。そして将来あるかもしれないお話。(幕)
(C)東京オペラプロデュース

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