時と場所 トラモント王国、妖精の国
あらすじ
第1幕 第1場 妖精の国
妖精達は庭園で美しい王国と永遠の命(不死性)を称えて歌っている。しかしツェミーナとファルツァーナは、妖精の王女アーダが人間の王子アリンダルに恋をしていることに心を悩ませていた。なぜならアリンダル王子が妖精と結婚するための厳しい試練を乗り越えられなければ、アーダ王女の不死性は失われてしまうのだ。妖精達は何とかアーダ王女とアリンダル王子を別れさせる方法はないかと考えていた。
第2場 荒野
その頃トラモント王国では、王子アリンダルが狩りに出たまま八年間も行方知れずのままで、国王は悲しみのうちに亡くなり、国は荒れていた。敵国は王位継承者不在のトラモント王国を乗っ取ろうと、アリンダル王子の妹ローラ王女に結婚を迫っていた。王子の友人モラルドとトラモント王国の廷臣グンターは国を救うため、アリンダル王子の行方を捜し続けているのだった。ある日、森に狩りに来たモラルドとグンターは、王子と狩りに出たまま行方知れずのゲルノートに出会い、三人は感激の再会を果たす。そこで王子の居場所を聞かれたゲルノートは「八年前、王子のお供で森へ狩りに来ると、白い鹿が現れました。その美しい鹿を追い森の水飲み場にやって来ると、鹿は美しい妖精に変身し、王子と妖精は一目で恋に落ちたのです。妖精は王子に、八年間絶対に名前を訊ねないと言う約束をさせ、共に森で暮らすようになりました。やがて二人の子供に恵まれ、幸せは永遠に続くかと思われました。しかし八年目の最後の日に王子は約束を破り、妖精の名前を聞いてしまったのです。すると激しい嵐が吹き荒れ、王子とお供の者達は荒れ果てた岩だらけの荒野に吹き飛ばされてこの地にたどりついたのです。」と語る。そこにアーダを探しに行っていたアリンダル王子が戻って来る。モラルドとグンダーは「アーダは王子を惑わす魔女です。アーダの妖術から目を覚まし、荒れ果てたトラモント王国再建のために一刻も早く、国にお帰り下さい」と説得する。王子はトラモントに帰ることを決意し、森に別れを告げようとすると、突然激しい疲労感に襲われ、その場に倒れ込み眠ってしまう。
第3場 美しく輝く城と庭園
妖精国では祝賀会が催され、美しいドレスに身を包んだアーダが現れ、フェミーナとファルツァーナを先頭に妖精達のパレードがやって来る。その時、森で倒れ込んだまま眠っていたアリンダル王子が目を覚まし、アーダとの再会を喜ぶ。しかし喜びもつかの間、アーダは約束を破ったアリンダルに厳しい試練を与えなければならなかった。そこでアーダは「二人の愛のために、これからどんなことが起ころうとも私を呪ってはいけません。」と告げ、アリンダルが誓いを立てると、馬車に乗り去って行く。
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