第3幕「夫と妻と」ブラックイーグル荘
次の朝若い二人は意気揚々とハンンマーホーンに出発する。ライシェマンと正気を取り戻したヒルダも旅支度をし、去って行く。ミッテンフォーファーは苦々しい孤独に苛まれながらもカロリーナに慰められながら仕事を続けている。そこに山岳ガイドのマウアーが走り込んで来るなり「すぐにも吹雪が来ます!この宿屋から山に向かった者はいませんか?今ならまだ救助は間に合います」と告げる。するとミッテンフォーファーはゆっくりと「私の知る限り、出かけた者はいないようだ」と答える。それを聞いたカロリーナは戦慄を覚えるが、意を唱えようとはしなかった。マウアーは「それなら他の宿屋にも知らせるので!」と急いで立ち去っていく。ミッテンフォーファーの心の闇を覗いてしまったカロリーナは平静を失い、暖炉に薪をくべながら「私は何かを忘れている?いいえ、すべて順調だわ。あなたと一緒にいて、咲き続けるバラに毎日水を上げるのよ」と口走る。ミッテンフォーファーはじっとカロリーナを見つめ「全て最終的には代価は支払われなければならないのだ」と独り言のようにつぶやく。そしてトニーとエリザベスは吹雪の中で遭難死をとげる。数日後偉大な詩人ミッテンフォーファーの60歳のお祝いがウィーンで開催される。ミッテンフォーファーは一人幕の前に立ち、山で遭難死を遂げたトニーとエリザベスに捧げた最新作「若い恋人達のエレジー」を朗読する。背後からヒルダ、ライシェマンそしてトニーとエリザベスたちのヴォーカリーズの歌声が流れ次第に消えていく。(幕)

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