第2幕
オルロフスキー公邸の舞踏会場。ロザリンデの衣装を無断で拝借し、女優オルガという偽名で闖入したアデーレがいる。ファルケ博士はオルロフスキーに、これから「こうもりの復讐劇」が始まると告げる。まずアデーレが公爵に紹介され、続いてルナール侯爵という変名で来たアイゼンシュタインが紹介される。ここでアデーレとアイゼンシュタインは顔を見合わせて、お互いに一瞬オヤッと思う。アイゼンシュタインはうっかり、「うちの小間使いに」と口を滑らせてしまう。アデーレは怒り出し、次いで有名なクープレとなり、「伯爵様、ご自分のバカさ加減を反省なさい。この私の手、これが小間使いの手でしょうか。ばかばかしい。ハッハッハ」、一同は大笑い。
そこへもう一人の登場人物が現れる。シュヴァリエ・ド・シャグラン、実は刑務所長のフランクである。彼もアイゼンシュタインに紹介される。すると博士は一同に、今夜のヒロイン、ハンガリーの伯爵夫人も間もなく到着するが、彼女のご主人は大変嫉妬深いために、仮面をつけたままでいさせて欲しいと言っていると告げる。そして当の伯爵夫人が現れるが、それは何とロザリンデであった。彼女は夫がやに下がっているのに驚き、アデーレが来ているのにもびっくり。女好きのアイゼンシュタインは、自分の妻とも知らず口説き始める。ポケットから金縁の時計を取り出し、これを見せるとほとんどの女は、自分のものになると、内心でほくそ笑む。ロザリンデも愛嬌たっぷりに、時計の美しさを讃美する。これは有名な「時計の二重唱」で、後にポルカに編曲され、「チクタク・ポルカ」として愛されている。彼はますます接近作戦に出るが、余り接近し過ぎて時計を取られてしまう。
ここでロザリンデが余りにも有名なアリア、「チャルダシュ」を歌う。ハンガリー情緒豊かなナンバーで、ゆっくりとしたラッスと、速く情熱的なフリスから成っている。拍手喝采が続いた後、博士は公爵に「こうもり」の由来を話し始める。3年前の仮面舞踏会の日、侯爵は蝶々、自分はこうもりの扮装で出かけたが、酩酊した博士は道端に寝かされしまった。やがて朝が来ると、大きなこうもりが寝ているというので町中は大騒ぎ、以来博士は「こうもり博士」になってしまった。
博士は、「その仇討ちは、明日になれば分かります」と笑う。公爵はシャンペンの杯を上げて、「シャンペンは酒の王、彼は統治し宣言する」と「シャンペンの歌」を歌い出す。
舞踏会はまさにたけなわ、男たちは酒に酔い、女たちは頬を紅潮させている。にわか貴族のアイゼンシュタインとフランクは、すっかり意気投合して、「兄弟、ところで今一体何時かね」とフランク、「残念、俺の時計は彼女に持って行かれてね、」とアイゼンシュタイン。アイゼンシュタインは、帰るまでに一度ロザリンデの顔を見たいと思い、「お願いだから、その仮面をとって、美しい顔を見せてください」と懇願する。だがロザリンデは、どうしても応じない。そのとき突然、彼女の胸の奥でアイゼンシュタインの時計が鳴り出す。彼は数える「ひい、ふう、みい、やっ6時だ」さあ大変、アイゼンシュタインは刑務所へ、フランクは自分の職場へと、慌てて去って行く。
(C)出谷 啓
第3幕へつづく

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