第4幕
第1場 リッチモンド宮殿
王妃になったアン・ブリンは男子に恵まれず、ヘンリー王の嫉妬に怯える日々を送っていた。今日はヘンリー王の誕生祝いで人々が集まっている。キャサリン元王妃の祝いの言葉を伝えに来たドン・ゴメスとの再会にアン・ブリンは凍りつき、「昔の手紙を持って来たのか?」と詰め寄る。ドン・ゴメスは「偽りの愛の誓いなど全て焼き捨てました。」と答える。しかしアン・ブリンは、ドン・ゴメスへの愛を誓った手紙が一通だけキャサリンの手元にある事を思い出し、何としてもその手紙を取り返さねばと震え上がる。王もまた、アン・ブリンの秘密を聞き出すために、キャサリンの暮らすキンボールトン城へ向かう。
第2場 キンボールトン城
人々に見捨てられ、数人の侍女たちと暮らすキャサリンは瀕死の状態である。一人故郷を想い、「スペインへ帰りたい!」と切なる願いを歌っていると、アン・ブリンが訪れ許しを乞う。しかしキャサリンは「心を貫いたお前の刃を許すものか!」と激怒する。ひざまずくアン・ブリンの目的が昔の手紙であることに思い至ったキャサリンは、さらに気持ちを高ぶらせる。そこにドン・ゴメスを従えて現れた王は、キャサリンに長年の仕打ちを詫び、秘密を聞き出そうとする。しかしキャサリンはドン・ゴメスの命を案じ、口を割ろうとしない。嫉妬に狂う王は、残忍な笑みを浮かべ、キャサリンの前でアン・ブリンに永遠の愛を誓い始める。アン・ブリンは恐怖に怯え王への愛を誓う。拷問のような王の責苦に、キャサリンは「神はまだ私を試されるか!」と証拠の手紙を火にくべ、息を引き取る。ついに秘密を暴けなかった王の救いのない猜疑心は、アン・ブリンへの憎しみに変わり、「王を侮辱するものは打ち首だ!」と叫ぶ。アン・ブリンは死期が迫った事を悟りその場に崩れる。死と狂気がせめぎ合う緊迫感の中で地獄の幕が降りる。
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