時と所:紀元前30年頃・エルサレム
第1幕/宮廷の庭
 王に献上する品物を運んで来たファリサイ人とサマリア人が小競り合いしているのを、占い師のファニュエルが「ローマという敵に立ち向わなければならない大事な時期に、仲間割れはやめなさい!」と、両者を治める。皆が立ち去った後、踊り子のサロメが現れ「毎日お母さんを捜しているけど見つからない…。でも砂漠で崇高なお説教をする素敵な予言者と出会ったわ」とファニュエルに言い、今度はその予言者を捜しに出掛けた。サロメは自分が母親に捨てられたと聞かされていたが、実はその母親とは王妃エロディアードのことだった。エロディアードは王エロドのために、幼かったサロメを含め家族を捨てていたのだ。そんなサロメは、今やエロド王の寵愛を一身に受けている。
 エロド王の元にエロディアード王妃が現れ「ジャンという予言者が私を侮辱するので処刑してほしい」と訴えるが、予言者であり洗礼者であるジャンの処刑など、民衆の手前王にはとてもできない。するとそこへジャンが現れ、王妃の言うことに激しい怒りを示すので、二人はすごすごとその場を去って行った。続いてサロメが現れると、お目当ての予言者の姿を見つけ大喜び。早速ジャンに愛を告白するが、ジャンはこれを拒絶し「私の運命は定められている。私を愛するならば夢の如く愛せよ!」と言い姿を消す。サロメはその姿をうっとりと見つめた。
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