【あらすじ】
イタリアのトルコ人
第1幕第1場
時と場所:時代設定は無し、ナポリ近郊の海辺。
ジプシーの一団が生活している。ジプシーの女ザイーダは、以前トルコの太守の息子であったセリムと愛し合っていたが、訳あり別れ、悲しみにくれている。そこへ新たな台本の執筆に取り掛かろうとして題材を求めている、詩人のプロスドーチモがやってくる。プロスドーチモは、夫と情人がありながら、なおも恋愛を求める美しく奔放なフィオリッラに注目する。海辺を散歩しにやってきたフィリオッラは、ただ一人を愛し続けるなんて馬鹿げていると歌う。(『たった一人のお方を愛するほど馬鹿げたことは』)一艘の船が到着し、立派ないでたちで、今は太守となったセリムが降り立つ。フィオリッラは早速セリムに関心を持ち、セリムもまたフィオリッラの美しさに目を奪われる。意気投合した二人がフィオリッラの家に入っていくところを目撃した夫のジェローニオは、友人であり、実はフィオリッラの情人であるナルチーゾと、詩人プロスドーチモに、その憤懣やるかたない思いを吐露する。詩人プロスドーチモは、セリムがザイーダのかつての恋人であったトルコ太守の息子であることを知って驚き、怒るジェローニオとナルチーゾを横目に、物語にうってつけの展開だと喜ぶ。

第2場 ジェロニーオの居間
フィオリッラとセリムの間では恋の駆け引きが行われている。お互いの魅力に強く惹かれあい、いい雰囲気になっているところへ、夫のジェロニーオが血相を変えて入ってくる。しかし、フィオリッラは一向に動じず、一緒にいる男が太守セリムであることを告げ、ジェロニーオに無礼を詫びさせる為、セリムの衣服にくちづけさせる。屈辱に胸がつぶれんばかりのジェロニーオ、一部始終を陰で見て激昂するナルチーゾ。フィオリッラに”海辺で待つ”とささやき、セリムはその場を去り、ナルチーゾとフィオリッラも退室する。一人取り残されたジェロニーオのところへ詩人プロスドーチモが現れたので、ジェロニーオはやりきれない胸のうちを詩人へ語るが、詩人は台本にとってよい展開だと面白がってばかりで、ジェロニーオの気持ちを受止めてはくれない。詩人が去った後、フィオリッラが戻ってくる。ジェロニーオは怒りをぶつけるが、フィオリッラにいいようになだめられてしまう。

第3場 夜の海辺
フィオリッラと落ち合い、ともに出帆しようとする太守セリムがやってきて、フィオリッラを待つ。その様子を詩人プロスドーチモは面白がって眺める。そこへジプシー女のザイーダが、占いの客を求めてセリムへ近づいてくる。お互いがかつて婚約を交わした相手だと気がつき、再会に感激し抱き合う二人。そこにナルチーゾ、ヴェールで顔を覆った女性、つづいてジェロニーオが現れる。ヴェールを取ると、その女性はフィオリッラであり、一同は驚く。現在のセリムの気持ちはフィオリッラにあることを知り、ザイーダとフィオリッラは言い争いになる。二人を取り持とうとするセリムとナルチーゾ、困惑するジェロニーオ、ジプシーの中にあり、願ってもない物語の展開に喜ぶ詩人プロスドーチモ。
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