【あらすじ】時と所:トロイ戦争の時代(紀元前12世紀初め)・アウリス(ギリシャ)
第1幕/ギリシャ軍の野営地
 トロイ遠征に向かうはずだったギリシャ連合軍は、凪のためアウリスの港から船を出港させられず悩んでいた。大祭司カルカスが神託を仰ぐと、どうやら風の吹かない理由は、ギリシャ軍総大将アガメムノンが、狩猟の女神ディアーヌの鹿を殺してしまったために、女神の怒りを買ったかららしい。カルカスによると、怒りを鎮めるためには「アガメムノンの娘イフィジェニーを生贄に捧げなければならない」ということだった。アガメムノンは軍の総大将として、早速娘に「恋人のアシルと結婚させる」と嘘の知らせを出し娘を呼び付けたが、アガメムノンにとっては大事な自分の娘…すぐに後悔すると「アシルが結婚を拒んだので来なくてよい」と、護衛兵隊長のアルカスに訂正の使いを頼んだ。しかし大祭司カルカスに「神との誓いを破ることなど許されぬ!」と非難され、アガメムノンは「ではもし娘がこの地に到着したら、その時は軍のために娘を生贄として捧げよう」と言い「神よ、父の私に命じるのか Peuvent-ils ordonner qu'un pere」と心の苦悩を歌った。
 アガメムノンの僅かな希望に反し、妻のクリテムネストラが娘のイフィジェニーを伴いアウリスに到着した。アシルが心変わりをしたと聞き、クリテムネストラは激しく怒り、イフィジェニーは嘆き悲しむが、偶然現れたアシルが「そんなことを言った覚えはない」と必死にイフィジェニーの誤解を解き、2人は「私の熱い想いを決して疑わないでください Ne doutez jamais de ma flamme」と二重唱を歌うと、すぐにでも結婚しようと誓い合った。

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