第3幕 第1場/河畔の寂れた山荘
 クドリャーシと友人のクリギンが、雷雨の中雨宿りをしている所へ、ボリスの叔父ヂコイもやって来た。クドリャーシとヂコイが「雷の正体は電気であるか神の仕業であるか..」と議論を交わしている間に雨は止み、皆は外へ出ていく。続いてヴァルヴァラが現れ、クドリャーシを呼び止めると、次には遠くに姿の見えるボリスを呼びつけた。ヴァルヴァラは2人に「チホンの帰りが早まって、カーチャが罪悪感で気が狂いそうになっているの..」と告げる。そこへカーチャがやって来るので、ボリスとクドリャーシはとっさに身を隠す。カーチャは「夫の顔を見ていると、罪を犯したことが怖くて死にそうになるの!」とヴァルヴァラに訴え、その身を震わせている。ボリスとクドリャーシは、出て来てカーチャを落ち着かせようとするが、ボリスの顔を見たカーチャは一層取り乱し、皆は閉口した。そこへカバニハとチホン、ヂコイが現れる。突然の夫の登場にカーチャは思わず自分の不貞を告白し、相手がボリスだということも告げると、そのまま気を失ってしまう。その後意識を取り戻したカーチャは、外へと飛び出し走り去る。外は再び嵐になっていた。
第2場/ヴォルガ河畔
 チホンが妻のカーチャを必死で捜している。ヴァルヴァラは自分のせいだと泣き叫ぶが、恋人であるクドリャーシに「一緒に逃げよう!」と言われ、2人は新しい生活を夢見て去っていく。その頃カーチャは、死を覚悟しさまよっていたが、何もかも忘れてボリスと一緒になれたら..との夢もどこかで捨て切れずにいた。そこへ当のボリスが現れるのだが、彼は叔父のヂコイからシベリア行きを命じられたと、カーチャに別れを告げ去っていく。もう全てが終わったと、カーチャは胸の前で十字を切り河へと身を投げる。
 河から女性の死体が上がったと、通行人が騒いでいる。駆け付けたチホンは、冷たくなった妻を抱き締めると「全部母さんが悪いんだ!」と母親のカバニハを激しく責めた。それに対しカバニハは、表情一つ変えずに「皆さんお騒がせしてすみません。どうも有難うございました。」と静かに言い放った。(幕)

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