【あらすじ】
時と所:17世紀末・モスクワとその周辺
プロローグ(「モスクワ河の夜明け」という美しい曲が流れ、この話の背景が語られる)
モスクワのツァーリ(君主の称号)であったフョードル3世の崩御後、病弱な実弟イヴァン(イヴァン5世)の代わりに異母弟ピョートル(ピョートル1世)が帝位を継いだことで、ピョートルの外戚や支持者がイヴァンの母后の策略により殺害された(銃兵隊を使った暴動を起こす)。これによりイヴァンが帝位につき、ピョートルは共同統治者に降格。しかし実際はイヴァンの実姉ソフィアが、幼い2人の弟の摂政としてその実権を握っていた。
第1幕/赤の広場(モスクワ)
銃兵隊による暴動の翌日。見張りの銃兵クースカが居眠りをしている所へ、代書屋が通り掛かる。続いて貴族のシャクロヴィートゥイが代書屋を追うようにやって来て「他言無用」と代書屋を脅すと、「銃兵隊長のイヴァン・ホヴァーンスキー公父子が、皇帝に謀反を働こうとしている…」と、父子を陥れるべく密告文を書かせそれを持ち去った。広場には当のイヴァン・ホヴァーンスキー公が巡回に現れ、民衆に讃えられながらその中を歩いている。やがて人がいなくなると、広場にエンマというドイツ人娘が駈け込んで来た。彼女は銃兵隊長イヴァンの息子、アンドレイに追われていた。アンドレイはエンマを手に入れるために彼女の父親を殺し、婚約者を追放している。エンマは遂に襲われそうになるが、アンドレイの元恋人マルファが現れ、アンドレイと闘いエンマを助けると「貴方はすぐに命を落とすことになるでしょう!」とアンドレイの未来を予言し立ち去った。そこへアンドレイの父親イヴァンが通り掛かり、美しいエンマを見初め父子でエンマを奪い合う。しかし彼等は旧教徒の指導者ドシフェイに「信仰が脅かされているこの時期に、そんなことをしている場合ではないでしょう!」と諌められ、兵士たちを連れ退場し、ドイツ娘エンマもドシフェイの指示でマルファに連れられ退場した。

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