第1幕 第1場、フィリッポの家
ある夏の夜、フィリッポの家の前で年老いた小作フィリッポ、若く可愛い娘ヴェスピーナ、ヴェスピーナの兄で農夫のナンニ、そして裕福な農民ネンチョが、甘い夏の宵を楽しみながら「美しい夕暮れと心地よいそよ風」を歌っている。小作フィリッポと裕福な農夫ネンチョは貧富の差を越えて、意気投合していた。そんな二人の様子を見て、ヴェスピーナは「ネンチョが別れも告げずに私のもとを去ってしまうのではないかしら」と心配していた。一方ヴェスピーナの兄のナンニはフィリッポの娘サンドリーナが姿をみせないことに気を揉んでいた。ようやくサンドリーナが登場すると「なにを話していたの?」と父親のフィリッポにたずねる。するとフィリッポはサンドリーナにはナンニと言う恋人がいる事をしりながら、「フィリッポと結婚するように」と告げる。サンドリーナはナンニを愛しているのだと抗議するが、貧しさの辛さを知り抜いている父は金持ちのネンチョを夫にするよう説得する。仕方なくサンドリーナは、ナンニを愛し続けながらも、ネンチョとの結婚を承諾する。しかしフィリッポはサンドリーナにきっぱりとナンニと別れるよう命令し「それが愛になる時」を歌い行ってしまう。残されたサンドリーナは心配するナンニに誤解を解こうと事情を説明し「こんなのペテンだわ」と父親に欺かれた怒りを込めて歌う。ナンニも「サンドリーナを失うくらいなら死んだ方がましだ」と訴え、復讐を誓い怒りのアリア「救いもなく」を歌いあげる。
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