第2幕 森の中
さらわれたフィッリデは羊飼いに助けられる。悪神官メリベーオは執拗に、奉公人であるアマランタの弟リンドーロとともに、怪物の生贄の儀式の準備を進めている。アマランタは相変わらず、色事師のペッルッケット伯爵と親密で、メリベーオはペッルッケットを永遠にアマランタから引き離さなければならないと考える。一方フィレーノは、不実だと誤解しているフィッリデを懲らしめるために、好きでもない妖精ネリーナを誘惑する。
そのころ村では女神ディアーナの盛大な祭りのために、村をあげての狩りが始まっていた。アマランタは野生のイノシシに襲われるが、フィレーノが矢で射殺して助ける。ペッルッケット伯爵は木に登って逃げていたが、イノシシが殺されたと見るや、木から下り、気を失っていたアマランタを優しく目覚めさせると、自分がイノシシから救ったのだと思いこませる。
一人森をさまようフィレーノはついに自殺を決意し、どんなにフィッリデの裏切りが辛かったかを遺志として切株に刻みこむ。しかし途中で矢が折れてしまい、死ぬことすらできなくなり走り去る。(「Bastano,bastano I panti...」で始まるレチタティーボによるフィレーノの言葉が、悲しく胸を打つ。)一方助かったフィッリデはフィレーノを捜し、遺志が刻まれた切株を見つける。刻まれたメッセージを読んで愛するフィレーノが死んだと思いこみ嘆き歌うアリア「私の鼓動/Ah,come il core」から、このオペラはクライマックスに向かっていく。絶望のあまりフィッリデは洞穴に逃げ込む。事態は悪神官メリベーオが考えた通りに動きはじめた。メリベーオはライバルの色事師ペッルッケットに、「抗うことのできないほど魅力的な女性フィッリデが、彼女の洞穴で伯爵を待っている」とそそのかすと、好き者の伯爵はまんまと口車にのり洞穴に入って行く。メリベーオの策略によってフィッリデとペッルッケット伯爵は、怪物の生贄として運命の恋人に仕立て上げられた。全員の嘆きとともに雷鳴が鳴り響く。
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