【あらすじ】
時と所:架空
プロローグ
星占い師が登場し「皆様へ教訓を含んだお伽噺を致しましょう。」と口上を述べ立ち去る。
第1幕/ダドン王の宮殿
ダドン王は近頃めっきり歳を取った老体を休め、そろそろ楽な生活をしたいと思っていた。しかし近隣諸国の侵入を放っておく訳にもいかない。そこで2人の王子に何か策はないかと尋ねると、長男のグヴィドン王子と二男のアフロン王子が、それぞれ案を出した。ところが軍指揮官のポルカン将軍に、いずれの案も欠点を指摘されてしまう。そんなポルカン将軍自身に妙案がある訳でもなく、ダドン王は役立たずばかりだと溜息を漏らす。そのような中、宮殿に星占い師が現れる。
星占い師はダドン王に、敵の襲来を知らせる不思議な能力を持つ「金鶏」を献上すると言う。ダドン王は大喜びで、褒美として何でも望みを叶えてやると告げる。星占い師は「自分には地位も権力も富も必要ありません。約束を文書に残してくれるだけで結構です」と答えた。王は「何故約束を疑う?自分が法律なのだから文書等必要ない。いつでも褒美を受け取りに来い!」と返した。星占い師が退室すると、ダドン王は早速金鶏に敵の見張りをさせ、自分はうとうとと眠りについた。金鶏が鳴く「キキクリ!ごろ寝して治めよ!」と。金鶏のお陰で、すっかり安心しきった生活を送っていると、ある日「キキクリ!警戒しろ!」と金鶏が騒ぎ出した。ダドン王は敵が攻めてくる予告だと、2人の王子に出陣を命じる。そして兄弟仲の悪い王子達に、喧嘩をしないようにと釘を刺し、軍もそれぞれに分けて送り出した。普段はダドン王への忠実を誓う、調子のいい2人の王子だったが、いざとなるとごねて嫌々出陣した。その後一旦は大人しくなった金鶏が、再び「警戒しろ!」と叫び出したので、今度はダドン王自ら残った老兵を掻き集め、これまた渋々出陣することになった。
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