第2幕/闇夜の谷間
ダドン王の軍隊が谷間に差し掛かると、足元に転がる何体もの死体の中に、2人の王子グヴィドンとアフロンがいた。2人が互いに刺し違え死んでいるのを見て王は悲しみ、策略をしたであろう敵への怒りを露わにする。やがて空が明るみ始め、山麓に立派な天幕が見えた。ダドン王が敵と思い攻撃準備を命じたところへ、中から美しい女性が現れ、太陽への讃歌<答えたまえ、全てをお見通しの太陽よ Otveti mne, zorkoe selilo>を歌い始めた。彼女はシェマーハ国の女王と名乗り、王に向かい「武力ではなく、自分の美しさで貴方の都を奪ってみせる」と言った。軍勢なくして何を言うかと、初めは馬鹿にしていたダドン王だったが、その内すっかり妖艶な女王の虜になり、彼女の意のままに不得手な歌や踊りまで披露する始末だった。愛する息子達が、女王を巡って刺し違えたのだと知っても、馬鹿な息子達だと嘆くだけ。とうとう王はシェマーハの女王に「我が身も国も貴女のものだ!」と言い、女王もこれを受ける。ダドン王は軍隊に向かい、女王を伴い国へ帰還することを宣言し、兵士達の歓喜の声と共に一同は出発する。
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