【あらすじ】
時と所:1789年・革命下のパリ
第1幕
第1場/フォルス侯爵邸
 フォルス侯爵は、息子の呼ぶ声で昼寝の浅い眠りから目覚めた。目の前の息子は、外出中の妹が群衆に囲まれているらしいと不安げに言う。侯爵は「亡くなったお前たちの母親も昔そんな目に遭ったことがある..」と一瞬暗い表情を見せるが、すぐに「馬車は頑丈だし護衛も優秀だ。問題はないだろう。」と息子を宥めた。そこへ妹のブランシュが怯えながら帰宅し、怖い目に遭ったから休みたいと言うので、兄は人一倍臆病者の妹のために灯りを用意させ、部屋へいくのを見送った。侯爵が再び眠りに就こうとすると、今度は娘ブランシュの悲鳴が聞こえる。驚く侯爵の元へ従者が現れ「お嬢様はロウソクの影に驚かれたようです。」と告げると、そこへ当のブランシュがやって来た。ブランシュは自分はカルメル会修道院に入り尼僧になりたいと言い、父親に許しを求める。侯爵は「革命下の混乱から逃げるための手段だとしたら、感心できないな」と彼女を諌めたが、ブランシュの決意は固かった。
第2場/カルメル会修道院
 フォルス侯爵の娘ブランシュは、カルメル会修道院を訪れると修道院長に面会を申し入れた。修道院長のクロワシーは、どこか患っていそうな高齢の女性だった。クロワシーはまず修道院での厳しい生活を語り、その後ブランシュに何故ここに入りたいのかと尋ねた。ブランシュは「神に仕える高尚な生活を送りたい」と答えるが、クロワシーは「それは思い違いです。修道院とはただひたすらに祈りを捧げる処であり、神はあなたの力ではなく弱さを試されるのですよ」と教える。ブランシュはその言葉に感銘を受けると、涙を流しながら決意が変わらないことを伝え、「救世主の苦悩におけるブランシュ(ブランシュ・ド・ラゴニー・デュ・クリスト)」という修道女名を自ら希望した。
第3場/修道院の食物受け取り室
 修道女となったブランシュは、食物を取りに食物受け取り室に来ていた。一緒に来た若い修道女のコンスタンスが、あまりにも明るく朗らかな性格なので、ブランシュは彼女に死が怖くないのかと尋ねた。すると彼女は「修道院長の代わりに死ぬことだって怖くないわ!」と答え、「私たちは若いうちに一緒に神に召されるような気がするの..」と言うので、ブランシュは「そんなこと言ってはいけないわ!」と彼女をたしなめた。
第4場/修道院内の医務室
 ベッドの上に修道院長のクロワシーが横たわっている。彼女は自分の命がもう長くないことを覚り、付き添いの副修道院長マリーに、ブランシュの面倒を頼むと言う。クロワシーは、新しく入ったブランシュのことが気掛かりで仕方ないのだ。クロワシーとブランシュは、修道女名も一緒だった。そこへブランシュがやって来るので、マリーは医師を呼びに退室し、クロワシーはブランシュに「いつまでも純粋な気持ちを持ち続けるように」と諭した。ブランシュが部屋から出ていくと、マリーが医師のジャヴェリノーと共に戻り、クロワシーの様子を窺う。クロワシーは医師に痛み止めをと望むが、医師はこれ以上体に負担は掛けられないと了承しない。クロワシーは激痛と闘ううちに次第と錯乱状態に陥り、神を責め、祭壇が破壊される幻覚を見ては取り乱した。修道院長のこんな姿をとても他の者には見せられないと、マリーは修道女たちに最後の面会はできなくなったと告げるが、ブランシュがやってきてクロワシーに寄り添うと、クロワシーはにわかに正気を取り戻し、神への非礼を詫びながら亡くなった。
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