時と所:16世紀・パレルモ(イタリア南部シチリア島)
プロローグ
軽快で賑やかな曲が繰り広げられ、これから始まる物語を示唆する。
第1幕
第1場/パレルモの歓楽街
 歓楽街に衛兵隊長のブリゲラがやって来て、居酒屋の主人ダニエリと従業員のドレッラ、ポンティオを捕えるよう兵士たちに命じる。街中の酒場や遊郭も兵士たちにより壊されていく。居酒屋から慌てて出て来た貴族のルツィオ、アントニオ、アンジェロの三人が、突然の暴挙に驚き理由を尋ねると、衛兵隊長のブリゲラは「外遊中の王の代わりを務めるフリードリッヒ総督が、飲酒・賭博・姦淫には死罪を…とのお触れを出したのだ!」と答える。カーニバルまでも禁止すると言うので、その場にいた者たちは「馬鹿げた話しだ」と鼻で笑ったが、貴族のクラウディオが「恋人と寝ていた罪」で捕えられている事態を見て、ルツィオは何とか友の命を助けようと必死に思案を巡らせた。そんなルツィオにクラウディオは「修道院にいる妹のイザベラに、この事を知らせてくれないか」と頼んだ。
第2場/修道院
 クラウディオの妹イザベラは、修道院に来た際偶然再会した幼馴染みのマリアナが沈んでいるのを見て、その理由を尋ねる。彼女は「王代行の総督は貧しい頃私と結婚したのに、出世するなり私を捨てたの」と嘆いた。その時扉を叩く音がするのでイザベラが出ると、ルツィオが「貴女の兄上が明日死刑になってしまう!」と事の次第を詳しく話した。驚いて顔に掛けたヴェールを落としたイザベラがあまりにも美しいので、一瞬で彼女に心を奪われたルツィオは咄嗟にイザベラに求婚するが、彼女は「今はそれどころではありません!」と言い修道院を飛び出した。
第3場/法廷
 法廷では衛兵隊長のブリゲラが、居酒屋の従業員のポンティオやドレッラに「一夜限りの結婚をした罪」や「禁酒法を破った罪」等の有罪判決を言い渡していた。そこへ総督のフリードリッヒが現れるので、民衆と共に法廷にやって来たアントニオが「せめてカーニバルだけは許可してください!」と嘆願するが、フリードリッヒはそれを一蹴すると自ら裁判を開廷した。クラウディオが「結婚前の恋人と一夜を共にした罪」で死刑を宣告された所へ、妹のイザベラが駈け込んで来て「たった一人の肉親である兄にどうぞお慈悲を!貴方は恋がどんなものかご存じないのですか?」と死罪の取り下げを願い出るが、フリードリッヒは全く聞き入れない。しかしイザベラの美しさに惹かれたフリードリッヒは、室内の者たちを退出させると「お前が恋というものを教えてくれるならば、兄の命は助けてやろう」と彼女に言い寄るので、驚いたイザベラは扉の向こうにいる人々に総督の卑劣さを大声で訴えた。しかしフリードリッヒに「皆にはお前の貞操を試すためと言うまでだ」と脅され、イザベラは仕方なく「それでは後日私からの手紙をお待ち下さい」と彼に耳打ちすると、その場を治めるために気の触れた振りをして立ち去った。しかしイザベラの頭には「総督に捨てられたマリアナの力を借りて、何とかこの苦境を乗り切ろう」という考えが浮かんでいた。
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