第3幕 薬局と中庭
何とかグリレッタを射止めたいヴォルピーノは、センプロニーオを大好きな新聞記事のトリックを使ってだまし、グリレッタとの婚約にこぎつけようとたくらむ。そして、トルコではペストが大流行しているので、薬と薬剤師を探しているという新聞記事を持って来る。知人のトルコ人を紹介するというヴォルピーノの言葉に簡単にだまされたセンプロニーオ。大いに乗り気になりその喜びを高らかに歌う。一方喧嘩をしたメンゴーネとグリレッタはお互い仲直りのチャンスをうかがっている。中庭で二人きりになると、メンゴーネが持っていたグリレッタのリボンをきっかけにして仲直りをする。(リボンを引き合い、巻きつけ合って恋人同士が歌う愛のデュエットは、このドラマ・ジョコーソにあって、ひときわ甘美で魅力的なアリアである。)薬局の店内ではヴォルピーノがトルコ人使者に扮装してやって来る。はやくもトルコ行きの旅支度を整えたセンプロニーオはニセのトルコ人にこびへつらう。(グリレッタの恋の行方には全くお構いなしに、センプロニーオとヴォルピーノだけで繰り広げられるおとぼけぶりは抱腹絶倒である。)トルコ人に化けたヴォルピーノはついにセンプロニーオから花嫁斡旋の約束をとりつけて店を出て行く。しかしこのドタバタ劇に便乗したメンゴーネが、やはりトルコ人に変装して現れ、後見人のセンプロニーオにグリレッタとの結婚の承諾を求める。トルコ熱に浮かれたセンプロニーオはグリレッタへの想いなどすっかり忘れて、簡単に二人の結婚を許可してしまう。その時ヴォルピーノが店に戻ってくるが、鼻先でグリレッタを持っていかれてしまったことに怒り変装を脱ぎ棄てる。メンゴーネも正体を現して事のなり行きを説明する。騙されていたことにやっと気が付き落胆するセンプロニーオをグリレッタがなぐさめる。わめき散らすヴォルピーノの怒りもおさまり、メンゴーネとグリレッタのデュエットにセンプロニーオとヴォルピーノも加わって、愛を讃える四重唱で幕を閉じる。
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