第1幕 フェッラーラ
ボルジア家の為に政略結婚を強いられて来たルクレツィアにとってフェッラーラ公爵アルフォンソは三人目の夫である。アルフォンソ公爵は家臣ルスティゲッロからルクレツィアとヴェネチアの若き軍人ジェンナーロが逢瀬を重ねていると報告をうけ、二人の仲を誤解していた。体面を傷つけられたことに憤るアルフオンソ公爵は二人への復讐の機会を窺っていたのである。
そんなこととは知らないジェンナーロは仲間のオルシーニらと結託し、アルフォンソ公爵の宮殿に掲げられていたボルジア/BORGIAの文字から剣でBの字を切り取ってORGIA(破廉恥)とし、家名を汚すという荒行を働いてしまった。当然のことながらアルフォンソ公爵の命でジェンナーロを見張っていたルスティゲッロに取り押さえられ、宮殿に連行される。
一方事情を知らされていないルクレツィアはボルジアの家名を汚された事に激怒し「今日と言う日が終わる前に!」と歌い、犯人を厳罰に処すように夫アルフォンソ公爵に要求する。いよいよ犯人としてジェンナーロが引っ立てられて来ると、ルクレツィアは驚愕し、何とか息子の命だけは救おうと処刑の中止を懇願する。態度を豹変させたルクレツィアに対し、アルフォンソ公爵は「ボルジア家を愚弄した者の命を何故救いたいのか」と不審がって見せながらも、内心はルクレツィアが不倫相手を自ら処刑する皮肉な運命に満足の笑みをうかべる。ジェンナーロが退席し、処刑方法は剣か毒かと迫る夫の残忍な思惑を知ったルクレツィアは毒殺を望み、解毒剤を用意して処刑場に臨む。
真相を知らないジェンナーロは毒入りワインが運ばれると、和解の杯と思いこみ、いっきに飲み干す。復讐を果たしたことを見届けたアルフォンソ公爵が立ち去ると、ルクレツィアはジェンナーロに駆け寄り、急いで隠し持っていた解毒剤を飲ませ、至急この地を離れるように言いつける。
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