第2幕 ネグローニ宮殿
逃げ帰ったジェンナーロは今夜中にもフェッラーラを発とうと準備をしている。そこに仲間のオルシーニが現れ、今宵開催されるネグローニ宮殿での夜会に誘う。命の危険を感じているジェンナーロは断るが、熱心な友人の誘いに負けてしまう。仕方なく、夜明けには共にヴェネチアに向けて出立することを約束し、仲間たちとネグローネ宮殿に向かう。ジェンナーロを見張っていた衛兵達は早速ルスティゲッロに報告し尾行しようとするが、ルスティゲッロはそれを制し「彼は自ら罠の中に飛び込んでいった」とほくそ笑む。
宮殿では華やかに夜会が催されている。オルシーニら五人の若者を待ち受けていたルクレツィアはヴェネチアの祝賀会で受けた屈辱の仕返しをしようと、ワインに毒を入れてふるまう。何も知らずにワインを飲んだオルシーニは乾杯の歌「幸せであるための秘密をお教えいたしましょう」と歌うが、やがて異変に気が付く。ワインに入っていた毒がまわりはじめた五人の若者達は宮殿からの脱出を試みるが、ドアには鍵がかけられ逃げることはできない。不気味な死の合唱が流れ、オルシーニもそれに和し辺りは異様な空気に包まれる。そこに黒装束のルクレツィアが登場すると「そうよ、私はボルジアの女…」と歌い、若者の数と同じ五つの棺を見せ「今、貴方達が飲んだのは毒入りワインよ」とヴェネチアでの復讐を宣言する。するとその時「棺は六つ必要です」と言う声が聞こえ、もうヴェネチアに帰ったとばかり思っていた息子のジェンナーロが進み出る。ルクレツィアは恐怖に凍りつき、他の者達を退出させるとジェンナーロに向かい「私を憎みなさい、ああ」と歌い、ジェンナーロもボルジア一族であり、自分は実の母であると明かす。そして残っている解毒剤を今すぐ飲むように懇願するが、ジェンナーロは自分一人助かる気はないと友人達との死を選び「母上、わたしは遠く離れて生きてきました」と歌い息絶える。悲鳴を聞いて駆け付けたアルフォンソ公爵や家臣達を前に、ルクレツィアは「私の息子、私の希望、私の慰め」と歌い、ジェンナーロの亡骸に倒れこむ。(幕)
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