<第2幕>
第1場/シェーン博士の家
 ルルはとうとうパトロンであったシェーン博士の妻となっていた。しかし相変わらずのその魅力で、周りの者を惑わす日々は続いている。その日もルルに夢中になっている同性愛者のゲシュヴィッツ伯爵令嬢が訪ねてきて、ルルを熱心に男子禁制のパーティーに誘っていた。ルルにベタベタする伯爵令嬢の態度が気に入らず博士が不機嫌になるので、彼女はすぐに帰っていったが..。しかしルルが博士の機嫌を取るように、ベッドへ誘って部屋へ入っている間に、伯爵令嬢はこっそり屋敷へと戻り物蔭に身を隠した。今日は博士が取引所に出かける日で、すぐにいなくなると分かっていたからだ。暫くして博士が出かけると、他にも次々と男たちが屋敷へ入ってきた。ルルの父親を名乗るシゴルヒ老人に屈強な力業師、その力業師に入口で会い、抱えられるようにして入ってきたギムナジウムの学生..。彼らは我が物顔で酒を飲みながら、いかに自分がルルと結婚したかったかと話した。そこへルルもやってきて楽しく語らっていると、使用人がやってきて「シェーン博士が..」と告げるので、皆は慌てて部屋のあちこちに身を隠した。しかし入って来たのは博士の息子アルヴァだった。アルヴァに姿を見られたシゴルヒは、私は博士の戦友だとごまかし出ていった。アルヴァもまたルルの魔力のような魅力に取り憑かれた一人だったので、早速ルルに求愛し始めた。
 その時シェーン博士が戻って来て、扉の陰から息子がルルに言い寄っているのを見てしまう。ショックを受けるのも束の間、博士は物蔭に隠れていた力業師ロドリーゴの姿も発見してしまい、間男ロドリーコに拳銃をに向けたところでルルが博士に気付く。博士はルルの元へ近付くと、息子アルヴァには何も気付かなかった振りをして彼を帰した。そして戻って来るなりルルに拳銃を突き付け自殺を迫った。ルルが抵抗し天井に向け1発撃つと、隠れていたロドリーゴが驚いて飛び出して来たので、博士はまだ間男がいるのかと部屋中を捜し回り、伯爵令嬢を発見。益々腹を立てルルに自殺を強要する。離婚すれば済むことだとルルは言ったが、博士は「もうお前とは身一つになっている。今更他の男といるところを見るのは堪えられない!自分の晩年は破滅だ!」と頭を抱えた。ルルが「替わりに私の青春を捧げたでしょ!」と反論し、2人は銃を取り合い揉み合いとなった。その様子に驚いた学生が椅子の陰から逃げ出したので、博士はあっけに取られそちらを見る。その背中にルルが弾を5発発射..博士はその場に倒れ込んだ。学生と駆け付けたアルヴァが博士を抱き起こすと、隠れていた伯爵令嬢のゲシュヴィッツが姿を現した。博士は彼女に「悪魔め!」と吐き捨てるように言い、長椅子に横たわると「次はお前の番だぞ。気を付けろ..」とアルヴァに向かって呟き息を引き取った。ルルはアルヴァに助けを求めるが、既に数名の警察官が屋敷内へ踏み込んでいた。
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