ルクセンブルク伯爵
【あらすじ】
時と所:20世紀初め パリ
第1幕
ロシアの貴族であるバジル・バジロヴィッチ侯爵は、昔恋した女性に面影の似た若いオペラ歌手アンジェールのパトロンとして、彼女の舞台を観に行くことを毎日の楽しみとしていた。当時位の高い貴族と平民との結婚は認められていなかった上、年の差もあることから侯爵は彼女との結婚を望むことはなかったが、偶然街で知り合った役所の戸籍係ペレグランから「一度どこかの貴族と偽装結婚させた後離婚させ、アンジェールに貴族の肩書だけを残せば」ともちかけられ、すっかりその気になる。すぐさま相手にちょうどいい貴族はいないかと秘書たちと相談中、ちょうど恋人の紹介で絵の売り込みに来ていた貧乏画家アルマンからいい人物がいると教えられる。アルマンの恋人であるモデルのジュリエットは、アンジェールの友人であった。アルマンが紹介したのは友人である放蕩貴族ルネ・ルクセンブルク伯爵。財産の全てを叔母に握られ自分で自由になるお金のないルネは、すぐさまこの儲け話にのった。勿論アンジェールもその計画を知った上で、バジル侯爵への感謝の気持ちから快くこの話を承諾した。晴れて結婚式当日。戸籍係のペレグランやバジル侯爵、秘書たちの見守る中、主役の2人はアルマンのアパートでキャンバスを挟み、顔を見ないままに結婚の誓いをするのだった。見たのは指輪交換時のお互いの「手」のみ。ルネはそのまま3ヶ月後の離婚手続きまではパリを離れるという約束で、その地を去った。
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