第4幕
 スコットランドとイングランドの国境の荒地。遠くにバーナムの森が見えている。マクベスに追われたスコットランドの亡命者たちが、祖国に帰れる日を待ち望んで、合唱曲「虐げられた祖国」をうたう。次いで城を焼かれ、妻子を惨殺されたマクダフは、アリア「我が息子たちよ」をうたい、マルコムとともに復讐を誓う。
 マクベスの城内、夜マクベス夫人は手に灯りを持ち、まるで夢遊病者のようにうろつき回り、手についた血痕を洗い流す仕草を繰り返す。不気味なアリア、「まだここに血痕が」
 マルコムがイングランドと組んで、マクベスを攻撃しかけて来たのを知って、魔女の予言そのままに、自分には無敵の力があると信じて、若僧などには負けぬと、アリア「裏切り者め」をうたう。そのとき侍女たちから夫人の死が伝えられ、一方兵士たちからはバーナムの森が動いて、敵が攻めて来たことを知らされる。マクベスは忌まわしい予言に絶望しながら、「勝利か死か」と叫んで兵士たちと出陣する。
 高地と密林に囲まれた広い戦場、マクダフはマクベスを追い詰めて行く。まだ魔女たちの予言を信じているマクベスは、「女の腹から生まれた者には負けぬ」というと、マクダフは「自分は生まれる前に、母の腹を裂いて出てきたのだ」と答える。それを聞いたマクベスは神通力を失い、自信と勇気をもなくして、マクダフの剣に倒されてしまう。舞台裏からは勝利の雄叫びが響いて、スコットランドを追われた亡命者たちと、イングランドの兵士に囲まれたマルコムが姿をあらわす。マクダフたちは、マルコムを新しい王として迎え、一同は勝利の喜びを高らかにうたい、歓喜のうちに幕は下ろされる。
(C)出谷 啓
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