【あらすじ】
時と所:ドイツ農民戦争(1524-1525)の頃・マインツとその近郊
第1景/イーゼンハイムの聖アントニウス会修道院
修道士たちの祈りの歌が聴こえる修道院の中庭で、マインツ大司教アルブレヒトのお抱え画家であるマティスが、壁画を描いている。すると突然そこへ傷を負った男が駈け込んで来た。男の名前はハンス・シュヴァルプ。農民一揆の首謀者で、連邦軍に追われ娘のレギーナと共にこの修道院に逃げ込んで来たのだ。マティスは修道士たちとハンスの傷の手当てをし、食事を与え休ませてやったが、目を覚ましたハンスは「こんな大変な時代にのんびり絵を描いているなんて…」とマティスを非難めいた顔で見た。そこへ軍の追手がやって来るという知らせが入ったので、マティスは父娘に馬を与え2人を逃がすが、それを知った軍士官のジルヴェスターは「この件は必ず大司教に知らせるからな!」と怒りを露わにし、マティスを睨んだ。
第2景/アルブレヒト大司教邸
マインツにあるアルブレヒト大司教の屋敷には人々が集まり、大司教がローマから帰るのを待っていた。中にはカトリックとルター派の人々が言い争う場面も見られる。やがて大司教が現れ皆に祝福を送ると人々は退出し、部屋には親しい数名の者だけが残った。大司教はルーテル派の富豪リーディンガーに声を掛けると、一緒にいたその娘のウルズラを「貴女はとても聡明で美しい女性だ」と褒め称えるので、彼女は頬を赤らめた。そこへ大司教のお抱え画家マティスが現れる。リーディンガーは経済的に苦しい大司教に向かい「マティスへの援助は私がしましょう」と申し出ると、「その代わりにルーテル派書籍の焚書を禁止してください」と言った。大司教はそれを快諾し、リーディンガーとウルズラは帰って行ったが、すぐに副大司教のポンメルスフェルデンにそれを咎められ、大司教は焚書を認める書類に署名をしてしまう。
そこへ連邦軍士官のシルヴェスターが現れ、マティスの姿を見付けると「農民一揆の首謀者を逃がした罪で逮捕する!」と息巻くが、大司教はひとまずマティスに真意を聞き、そのまま彼を逃がしてやる。

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