<第3幕>
廃墟と化したコチュベイの領地
辺りは荒涼とした廃墟で人影もない。アンドレイが登場し、全てを破壊した戦争を嘆き「ここでは日々が幸せに過ぎていた」と歌う。そして愛するマリアとコチュベイの仇を取ろうとマゼッパを探している。そこにマゼッパと部下のオルリクが現れる。ポルタヴァの戦いで、ロシアのピョトル大帝に敗れたマゼッパは今や逃亡の身である。物陰から名乗りでたアンドレイはマゼッパに剣を抜いて戦いを挑むが、背後からオルリクに撃たれ、その場に倒れる。すると正気を失ったマリアがふらふらと歩いて来る。マゼッパを見ても分からず、父コチュベイの死は母親の仕組んだお芝居だと信じ込んでいる。マゼッパは愛するマリアの変わり果てた姿に茫然となるが、優しくマリアを呼び、正気付かせようとする。しだいに落ち着きを取り戻すマリアは「野原を覚えているわ」と歌い、立ち尽くすマゼッパに駆け寄って来る。しかし血に染まるマゼッパの姿を見て、人違いだったと謝る。偵察に出ていたオルリクが戻り、ロシア軍が迫っていると報告する。マゼッパはマリアを連れて逃げようとするが、オルリクは足手まといになると反対する。後ろ髪をひかれながらもマゼッパはマリアを置き去りにして行く。残されたマリアは廃墟の中で血まみれのアンドレイを見つけ、処刑の恐怖を思い出す。アンドレイは最後の力を振り絞り「正気に戻ってくれ!」と歌うがマリアにはアンドレイが分からず、子供と勘違いし子守歌を歌い始める。アンドレイはもう一度だけ愛するマリアの顔が見たいと、マリアの名を呼びながら息絶える。廃墟の中でたった一人、汚れた花を抱きしめてマリアは子守唄を歌い続ける。〈幕〉
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