【あらすじ】
時と所:当時のドイツ
<小序曲>
中音部以上の楽器による可愛いらしい序曲。第1ヴァイオリンの落ち着いた主題と、弦のピッツィカートによる軽やかな主題が交互に出てきて、気まぐれな子供の世界を思わせる。
<第1幕>
第1場/クララの家
1.クリスマスツリー
市会議長のシュタールバウム夫妻が、クリスマスパーティーに備えて召使達とクリスマスツリーの飾り付けをしている。そこへこの家の子供達、クララと兄のフリッツが入って来る。今日は楽しみにしていたクリスマスパーティー。(木管楽器がロウソクの炎を表現し、ティンパ二の音で子供達が登場する。そして次の行進曲を暗示させる弦楽器のトレモロとハープが入る。)
2.行進曲
子供達はクリスマスツリーの周りで嬉しそうに踊る。(誰もが耳にしたことのある有名な曲。金管楽器とクラリネットによるファンファーレのようなテーマの後、子供達のわくわくした気持ちを表す弦楽器の弾むような旋律が続き、繰り返される。)
3.ギャロップ、両親とお客達の登場
子供達が益々楽しそうに踊っているところに、着替えを済ませた両親とパーティーに出席するお客達が次々と現れる。(第1ヴァイオリンの軽やかなギャロップで子供達が踊り、アンダンテのメヌエットで両親とお客が登場。)
4.ドロッセルマイヤーの登場
少し遅れて、クララとフリッツの祖父であるドロッセルマイヤー老人がパーティーにやって来る。彼は子供達2人にパイやキャベツをプレゼントするががっかりされ、替わりにバネ仕掛けの兵隊の人形(アルルカン)と、女の子の人形(コロンビーヌ)を取り出し動かしてみる。(音楽と踊りが突然止まり、ヴィオラとトロンボーンのアンダンティーノでドロッセルマイヤー老人が登場。ヴァイオリンとフルートの美しい旋律が子供達の期待と不安を、その後の落胆した様子をオーボエとイングリッシュホルンの重奏が表現する。アルルカンとコロンビーヌはパ・ド・ドゥを踊り、コミカルなクラリネットの旋律、優雅なワルツのヴァイオリン旋律へと続く。)
5.グロスファーター(<独>お祖父さん)のクリスマスプレゼント
子供達の寝る時間となり、クララとフリッツの父親シュタールバウムは人形が壊れるのを恐れ、子供達に遊ぶのを止めさせる。がっかりする2人にドロッセルマイヤーがポケットに入っているくるみ割り人形を見せると、子供達は人形が気に入り目を輝かせる。(弦のピッツィカートの伴奏の中、第1ヴァイオリンが静かなワルツを奏で子供達の寝る時間を、続いてラットルの加わった楽しげな旋律がくるみ割り人形の登場を表す。)
ところが2人は人形を奪い合い、兄のフリッツはそれを壊してしまう。悲しむクララは壊れたくるみ割り人形をおもちゃのベッドに寝かせるが、フリッツの方はそんなことには構わず友達とラッパや太鼓を打ち鳴らしはしゃぐ。シュタールバウム夫妻がそれを鎮めると、客達の踊りが始まる。(クララの悲しみをオーボエとフルートが表現し、客達の踊りにはクラシカルなワルツが流れる。)
6.お客達の退場、魔法の始まり
パーティーが終わるとお客達は帰り、クララとフリッツも寝室へ行く。ところがクララはくるみ割り人形が気になり、真っ暗な広間へこっそり入って行くとおもちゃのベッドを覗く。(クラリネットとファゴットの重奏)その時ふくろうの時計が12時を知らせ、沢山のねずみが現れる。クリスマスツリーも大きくなっていき、兵隊の人形が行進を始める。(ピッコロでねずみの動きを、ハープとクラリネットの伴奏に幻想的なヴァイオリンの旋律で、大きくなるクリスマスツリーを表現する。)
7.くるみ割り人形とねずみの王様の戦い
そのうち兵隊の人形達とねずみの大群が戦いを始め、くるみ割り人形も加勢をする。そして最後にはくるみ割り人形とねずみの王様の一騎打ちとなる。(おもちゃの戦いらしいコミカルな情景が繰り広げられる。)くるみ割り人形が負けそうになると、クララはねずみめがけてスリッパを投げつけ人形を助ける。ねずみが逃げ去り喜んでいると、くるみ割り人形が突然美しい王子に変わり、助けてもらったお礼にクララをお菓子の国へ招待すると言う。2人は手を取り合いお菓子の国へと出発する。
第2場/魔法の森
8.冬の森
クララと王子が森にさしかかると、雪の精が道案内をしてくれる。(ハープのアルペッジョにホルンやクラリネット、ヴァイオリンの主題がひっそりと繰り返される。)
9.雪の精のワルツ
沢山の雪の精達が華麗にワルツを踊り、クララと王子も一緒に踊る。そして月の光に吸い込まれるように2人はお菓子の国へと旅立って行く。(フルート中心のワルツにのり、雪の精達が可憐に軽やかに吹雪や粉雪を表現する。月の光の射す場面では24人編成のボーイズソプラノのヴォカリーズが、幻想的な世界を盛り上げる。)
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