第3幕
城内の大広間。伝令がヴェネツィアからの特使が今港に着いたと告げる。イヤーゴはオテロに、カッシオを誘い出して不倫の証拠を見せようと言って立ち去る。やがてデズデモーナが登場し、再びカッシオの赦免を執拗に迫るので、オテロは妻に対する疑惑をいよいよ深め、自分が贈ったハンケチの行方を追及する。彼女は自分の潔白を主張するが、嫉妬に狂ったオテロの耳には入りようもない。ついに彼女を売女と罵り、嘆き悲しむ妻を部屋から追い出し、1人悄然と立ち尽くして悲痛なモノローグ、「神よ、すべての恥辱を我に与えるのか」を歌う。そこへイヤーゴがカッシオを連れて現れ、オテロは急いで物陰に身を隠す。イヤーゴは、カッシオの情婦、ビアンカの話を切り出し、カッシオは自分の家にこんなハンケチが落ちていたと、例のデズデモーナのハンケチを取り出す。イヤーゴはそっとそれをオテロに見せ、いかにもカッシオとデズデモーナが不倫の関係にあるかのように振る舞う。妻の不貞を確信したオテロは、どうしてデズデモーナを殺すかと叫ぶ。イヤーゴは、あの汚れたベッドの上でと答える。そのとき城外から、使節の到来を告げるファンファーレが鳴り響く。使節のロドヴィーゴが従者を連れて現れ、本国からの書簡をオテロに手渡す。そこにはオテロをヴェネツィアに召喚し、カッシオをその後任とするとあった。オテロは、デズデモーナの悲しげな様子をカッシオとの別れの辛さと誤解し、彼女を罵倒して突き倒す。悲しみの余り彼女は、「床に倒れ、泥にまみれて私は泣いている。過ぎしあの日は、希望と接吻に飾られていたが、今は涙を乾かす術もない」と歌う。余りの出来事に驚愕して、一同はその場を立ち去る。去りやらず1人残ったオテロに、戻って来たイヤーゴが勝ち誇ったように、「これがヴェネツィアの獅子か」と高笑いする。城外では群衆が「オテロ万歳」と歓声を上げているのが聞こえる。
(C) 出谷 啓
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