第2幕 
プロローグ パラモアの館
バラッドでウィングレイヴ家の悲劇が歌われる。
ある日、庭で遊んでいた少年はたわいもない喧嘩をし、友人から剣での決着を申し込まれる。しかし少年は剣を受け取らず、争いを放棄する。それを部屋から見ていた父親は、軍人の名門たるウィングレイヴ家の恥だと怒り、少年を屋根裏部屋に連れて行き折檻する。床に倒れた少年は頭から血を流し、父親もその場に倒れ込む。家人に発見された時、二人はともに息絶えていた。
第1場 幽霊部屋、祖父の書斎と広間
オーエンはコイルに、自分にとってこの物語がいかに大きな意味を持っているかを話しながら、二人が死んだ幽霊部屋にやって来る。一方コイル夫人は孤立するオーエンを案じ恋人のケイトに、もっと彼を理解するように努めるべきだと諭すが、ケイトはオーエンを許そうとしない。そして祖父のフィリップ卿が孫のオーエンを自分の書斎に呼びつけ「服従せよ!」と厳しく叱責し、オーエンに勘当を言い渡す。書斎から出てきたオーエンは「全て終わった!」と告げる。それを聞いたジュリアン夫人は娘のケイトとオーエンとの縁組が絶望的になったことを嘆く。するとオーエンの友人レッチミアはケイトを慰めるだけでなく口説き始めるのである。ケイトもまんざらではなく、二人は意気投合するので、コイル夫妻は、勘当されたうえに恋人にも友人にも裏切られたオーエンに同情する。そこに叔母が現れ一同に来訪の礼を述べ、レッチミアにケイトのエスコートを言いつける。コイル夫妻は、「疲れた」と漏らすオーエンを気遣い部屋に引き揚げる。一人になったオーエンは肖像画に向かい「私はもう誰でもない。平和の中に一人で生きていく。平和は沈黙ではなく、愛の言葉である。平和は必ず勝利をおさめる!」と自分の信念である平和について歌う。肖像画に語りかけるオーエンに幽霊父子が見えてくる。オーエンは少年の幽霊を追いながら「私はもう何も怖れない。だから君も父を怖れることはないのです。」と話しかける。気が付くとオーエンは幽霊部屋の前に来ている。座りこみ悩むオーエンを見つけ、ケイトがやって来る。二人は思わず抱き合い楽しかった日々を思い出す。オーエンは「一緒にこの家を出て行こう!」と歌うが、ケイトはオーエンを理解出来ずに、兵士になって欲しいと懇願する。オーエンの決意が変わらないことを知ったケイトは「レッチミアは勇敢で幽霊部屋で一夜を明かしてみせると言ったけれど、臆病なあなたには出来ないわ!」と侮辱する。憤慨したオーエンは、幽霊部屋に入り、ケイトに外から鍵をかけるように言いつける。
第2場 幽霊部屋
コイル夫人は寝室に戻ってからもケイトの態度が「憎しみに満ちている」と非難し、早く不吉なパラモアを出たいとコイルに訴える。そこにレッチミアが訪ねて来て「オーエンが幽霊部屋に入り、ケイトが鍵をかけるのを見てしまった」と告げる。その頃オーエンは幽霊部屋の中を一人歩き回り、廊下で待つケイトは恐怖の中でその足音に耳を澄ましている。すると突然足音が途絶える。驚いたケイトが部屋の鍵を開けると、オーエンは倒れ、すでに息絶えていた。ケイトの悲鳴を聞きつけた人々が駆け付ける。ケイトは「私のせいなのです。」と泣きながらオーエンを抱きしめる。恐怖に立ち尽くす人々は、オーエンが、彼のやり方で理想のために戦ったのだと理解する。オーエンは戦場で誇り高く死んだ兵士のように、平和のために、信念の死に身を委ねたのだった。(幕)
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