パルジファル
第1幕
 スペインのモンサルヴァート。老騎士のグルネマンツが大樹の下で、2人の従者たちと眠っている。彼はゆっくりと起き上がり、アンフォルタス王が湯浴みをする時間だと、従者たちをせき立てる。そこへ2人の騎士が来て、届けられた薬草が全然効かなかったと告げる。すると突然従者が、勇ましい女の騎手が来ると叫ぶ。騎士はあれは、クンドリーだと答える。彼女は王のために、アラビアから薬を持って来たのだった。王が輿に横たわった姿であらわれ、彼女から薬を受け取り、湯浴みするために去る。グルネマンツはこれまでの経緯を語る。「魔術師クリングゾルの呪いを受けたクンドリーは、その手先になってしまった。クリングゾルの誘惑に堕ちた王は聖なる槍を奪われ、その槍で傷つけられ、その傷に悩まされるようになる。そして神託が下り、『共に苦しみ知を得る清らかな愚者、神に選ばれた彼を待て』の言葉が聞かれる。」以上がグルネマンツの昔語りで、このとき湖から叫び声が聞こえる。一羽の白鳥が傷ついて、グルネマンツの傍らに落ちる。やがて襤褸をまとった1人の青年が、騎士に引き立てられて来る。彼がパルジファルで、神の使いの白鳥を狙ったと白状する。グルネマンツからその非行を諭され、パルジファルは大いに反省して弓矢を折ってしまう。クンドリーがこの青年の生い立ちを語り、それを聞いたグルネマンツは、彼こそ神託の愚者かも知れないと考え、聖杯の儀式を見せるために、寺院へ彼を導いて行く。
 場面は寺院の中に変わり、聖杯の前で愛の聖餐が行なわれる。王が輿に乗ってあらわれ、先王のティトゥレルの声が響き、聖杯の覆いをとることを命じる。すると聖杯に一筋の光が射し、王は聖なるパンと酒を騎士たちに分け与え、輿に乗って去っていく。じっとみていたパルジファルに、グルネマンツはこの式が分かるかと訊ねる。パルジファルは,無言で首を横に振る。グルネマンツは怒って、パルジファルを聖域から追い出す。天井からは不思議な、神託の合唱が聞こえて来る。
(C) 出谷 啓
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