第2幕
時は流れて1893年のシカゴ。万国博が催されている。結婚したマグノリアとゲイロードは豪華ホテルに滞在して、幸福に酔い痴れている。賭博師のゲイロードは連日カジノに入り浸り、ギャンブルに余念がない。勝ちに勝ちツキにツキまくっている彼は、マグノリアに豪華な品々をプレゼントして、すっかり名士気取りである。だがツイている間は良かったが、ツキが落ち始め、ついに全財産をスッてしまう。だが2人には愛だけがあると確認して、「どうしてあなたを愛するのか?」の二重唱を歌う。2人は豪華ホテルを引き払い、安宿に住み変えるがツキは戻らず、マグノリアはプレゼントされた品々をゲイロードに返し、それを金に替えるよう説得する。しかしプライドの高いゲイロードは頑として受け付けない。次第に夫婦の話し合いも険悪になり、2人は別行動をとることが多くなる。ある日マグノリアは、ゲイロードが手放し質屋に入っていたツキを呼ぶというステッキを買い戻す。ホテルに戻って来ると、ショウ・ボート時代のダンス・カップル、フランクとエリーに再会。束の間喜び合う。だが宿の女主人はゲイロードが解約を宣したので、2人に部屋を見せているという。驚いたマグノリアが寝室を開けるとゲイロードの姿は既になく、西部へ行ってやり直すとの置手紙を発見する。余りのことに呆然とするマグノリア。見かねたフランクとエリーは、自分たちはシカゴのトロカデロ劇場に出演するが、マグノリアにもオーディションを受けるようにと勧める。この劇場には既に、スティーヴに捨てられたジュリーが歌手として出演している。酒に溺れ今や淪落の境遇にあるジュリーは、ここで新曲「ビル」のリハーサルをしている。楽屋でスタッフと酒を飲んで憂さを晴らしていると、ステージの方から昔彼女の持ち歌だった、「愛さずにはいられない」を歌う声が聞こえるので、バック・ステージへ行くと、思いもかけずマグノリアの姿があり愕然とする。マグノリアはしかし支配人に冷たく採用を拒絶される。ジュリーは彼女に出演のチャンスを与えるため、劇場から姿を消してしまう。大晦日の夜、トロカデロ劇場に、船長がご機嫌な気分でやって来る。シカゴにいる娘のマグノリアに会いに来たのだが、フランクとエリーが住所を知っているというので、劇場にまず立ち寄ったのである。ショウが始まりフランクとエリーのダンス、「さらば、愛する人よ」が演じられる。アンディ船長は、彼らは自分が仕込んだのだと自慢するが、次に出て来た歌手をみて仰天する。それがお目当ての娘、マグノリアだったからだ。彼女は弱々しく「舞踏会の後で」を歌い出すが、客たちにやじり倒され、立ち往生しそうになる。船長は客たちを制し、マグノリアに「微笑んで!」と客席から励ます。すると彼女の歌に精彩が溢れ、満場が一大コーラスになり、マグノリアのデビューは大成功に終わる。新年を迎える鐘が鳴り渡り、久しぶりに父娘の再会が果される。船長は娘に、ニューヨークへ出てスターになるよう勧めるが、マグノリアはゲイロードの子供を宿しているのを告白し、ショウ・ボートへ帰るという。両親の下でマグノリアは、無事女の子を出産する。名前をキムと付け、彼女はすくすくと成長する。一方ギャンブル稼業に明け暮れるゲイロードは、ある船の中でジュリーに出会い、卑怯者・ろくでなしとなじられ、初めて自分に娘がいることを知る。再び時は流れて1927年、今やキムはすっかりレディになっている。親子3代にわたるショウ・ボートのスターとして、船を支える立派な芸人に育ったのである。そこへ戻って来たのが、すっかり中年になったゲイロード。彼は再び「君こそは我が愛」を歌い、過去を忘れ、マグノリアとの愛を確かめ合い、船長夫妻もゲイロードを許し、幸せをやっとつかんだ2人の前に、雄大なミシシッピ河は今日も流れ続けている。(幕) (C) 出谷 啓
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