セーヌ河に浮かぶ艀。船のオーナー、ミケーレはパイプをくわえ夕日を眺め、女房のジョルジエッタは炊事洗濯に精を出している。ミケーレは仕事の終わった人夫たちに酒を振る舞うように言い、彼女にキスしようとするが、ジョルジエッタは取り合わない。機嫌を損ねたミケーレは船倉に降りて、人夫たちと酒に疲れを癒す。通りかかった手回しのオルガン弾きが呼び止められ、まずティンカがジョルジエッタと踊り、これをルイジが引き取って強く抱きしめて踊る。やがてミケーレが戻って来るので、ルイジは金をオルガン弾きにやって、船倉の方に降りて行く。
何もなかったように夫にジョルジエッタは話しかけるが、会話はぎくしゃくとして噛み合わない。岸には流行歌の楽譜売りが来て、お針子たちに最新流行の歌を聞かせる。相変らずミケーレの機嫌が悪いので、ジョルジエッタは黙っていられるよりは痣の出来るほどぶたれた方がまだましだと愚痴る。そこへ屑拾いのフルーゴラが船に乗り込んで来て、拾い集めて来たいろいろなガラクタをみせては、ジョルジエッタを相手に屑拾いの哲学を披露する。やがてミケーレは明日の仕事をルイジに頼んで船倉に戻り、酔っ払いのティンカがせめて酔っているときぐらいは笑っていようよといいながら立ち去る。ルイジがこれに合わせて、自分の暗い青春を嘆く。アリア「お前の言う通りだ」。一方フルーゴラは小さな自分の家を持つ夢を語ると、ジョルジエッタはパリの空気を懐かしがる。同郷のルイジがこれに合わせて、2人はともに故郷の魅力を懐かしむ。
遠くに船の汽笛が聞こえ、ルイジとジョルジエッタの2人だけになる。2人は束の間を惜しみ愛を語るが、夫に見つかったら殺されると彼女は恐れる。だがそこへミケーレが現れ、残っているルイジを訝って声をかける。ルイジはルーアンで船を降りたいというが、ろくなところじゃないと言われて諦める。なぜルーアンで降りたいのかとジョルジエッタが訊ねると、ルイジは夫婦仲を裂きたくないからと答える。だが彼女は享楽とは激しいものといって、ルイジの愛を激しく求める。2人でどこかへ逃げようと相談していると何かの気配、ルイジは彼女のマッチの火を合図に、後で再び寄ることを約束して去る。ここで二重唱、「嫉妬の虫だ、お前を抱きしめたい」になる。
つづく
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