タンホイザー
Tannhaeuser
リヒャルト・ワーグナー
Richard Wagner
独1813-1883
初演:1845年10月19日ドレスデン宮廷劇場
パリ版:1861年3月13日オペラ座
台本:作曲者/独語
演奏時間:第1幕約45分/第2幕約65分/第3幕約60分/合計約2時間50分
【概説】
 正式なタイトルは《タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦》。中世ドイツの「タンホイザー伝説」と「ヴァルトブルクの歌合戦」の史実を題材に、ワーグナーが独自のストーリーを構成して台本を仕上げた。登場人物のヴォルフラム・フォン・エッシンバッハ(エッッシェンバッハ)とヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデは実在の大詩人で、前者は《ローエングリン》と《パルジファル》の原作となった叙事詩『パルツィヴァル』の作者であり、後者は《ニュルンベルクのマイスタージンガー》にも、その名が登場する。愛の真実を歌う詩人である騎士タンホイザーは、偽善が支配するヴァルトブルクの宮廷にも、歓楽の園ヴェーヌスベルク(ヴィーナスの山)にも安住の地を見出せず、ローマに懺悔の巡礼をしても教皇の許しを得られなかったが、聖女エリーザベトの犠牲死により天使に救われる。
 以下のように何度も作品が改訂されたため、複数の版が存在する。1845年、ドレスデンのザクセン宮廷劇場で作曲者の指揮により初演(これを少々手直ししたのがドレスデン版)。1861年、パリ・オペラ座での上演を機会にフランス語版を作り、音楽も、第1幕の第1場(バッカナール)と第2場(タンホイザーとヴェーヌスの場面)を中心に改訂した。1867年、ミュンヘンのバイエルン宮廷歌劇場での上演で、これをドイツ語版に戻し、1875年、ウィーン宮廷歌劇場での上演に際して、さらに手を加えたのが最終稿となった(通常これをパリ版と呼んでいる)。ワーグナー自身は、これを決定稿とみなしてはいなかったため、今日ではドレスデン版とパリ版は同等に上演され、両者の折衷版が作られることも多い。 ワーグナーはこの作品から番号形式をやめた。巡礼の合唱。入場行進曲。夕星の歌などの有名な曲がある。
(C) 吉田 真
最終更新:2009年10月12日
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