【基礎データ】
けちな騎士
The Miserly knight
作曲:セルゲイ・ラフマニノフ/Sergei Rachmaninov(1873~1943)
原作:アレキサンダー・プーシキン/Alexander Pushkin(1799~1837)「小悲劇」より「けちな騎士」
台本:セルゲイ・ラフマニノフ/Sergei Rachmaninov、ロシア語
初演:1906年1月24日,モスクワ,ボリショイ劇場
演奏時間:全3幕58分(序曲6分,第1幕19分,第2幕21分,第3幕12分)
楽器編成:3Fl(Pic),2Ob,EH,2Cl,Bs-Cl,2Fg/4Hr,3Tp,3Tb,Tub/Tim,Perc(Cym,BD,Trgl,TT)/Hp/Str
時と場所:中世のイングランド
概説:ラフマニノフはプーシキンが1830年に発表した「小悲劇」という四つの詩の作品群の中から、「けちな騎士」を自ら台本に書き直しオペラ化した。「けちな騎士」はプーシキンの身勝手な父親への偽装攻撃であると解釈されているが、やはり父親の散財に悩まされたラフマニノフがこの話に共鳴したのがオペラ化の理由である。「小悲劇」の他の三作品も、別の作曲家によってすべてオペラ化されていて、四作品の共通点は原作であるプーシキンの詩を一語一語、忠実に台本化していることである。1902年、ラフマニノフは従妹のソフィアとの新婚旅行でヴェニスを訪れ、そこで観た「ニーベルングの指輪」「さまよえるオランダ人」などのオペラに影響を受けた。その結果、翌1903年から作曲にとりかかかった「けちな騎士」は、オーケストラが作品の大きな部分を担う新しいスタイルのオペラとして誕生した。ラフマニノフは第2幕の全てを占める男爵の膨大なモノローグを、当時人気の名バスであったシャリアピンに歌わせようと考えていたが、シャリアピンがこのモノローグを暗譜しきれなかったために別の歌手を立てざるをえなくなったと言われている。登場人物が全て男声だけという異色の作品である。
by MI
最終更新:2009年6月12日

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