<第2部>「ブロウチェク氏の15世紀への旅行」
第1幕/プラハの旧市街広場
今夜もブロウチェク氏は居酒屋ヴィカールカ亭で酔っ払い、飲み仲間たちと店を出た。ところが彼は一人道に迷って、古い地下の宝物庫に落ちてしまう。そこは国王ヴァーツラフ4世の宝物庫で、城からヴァルタヴァ河まで地下で繋がっていた。ブロウチェクは必死で出口を探し漸く外に出られるが、入れ違いにこのオペラの原作者スヴァトプルク・チェフの幻影が現れ、愛国の詩をうたい消えて行った。
無事に外へ出られたはずだったが、ブロウチェクが辺りを見回すとそこは中世プラハの広場だった。しかも時代は神聖ローマ帝国ジギスムントが統治する1420年。十字軍に包囲されたフス教徒たちが戦いを覚悟する、緊迫した空気が街中に張り詰めている状況だった。そんな中ブロウチェクは、ヴィカールカ亭の主人ヴュルフルにそっくりな役人に「ここはどこだ?」と声を掛けるが、ブロウチェクの話す現代の言葉は役人には伝わりにくく、結局「ジギスムントのスパイ」という疑いを掛けられ捕えられてしまう。ブロウチェクは助けを求めながら気絶する。目を覚ますと、目の前には堂守にそっくりな鐘つきのドムシークが立っていた。ドムシークが「何故正しいチェコ語が話せないのか」とブロウチェクに聞くので、ブロウチェクは咄嗟に「長い間外国に住んでいたので…」と嘘を吐く。人々は納得し、ブロウチェクはその晩ドムシークの家に泊めてもらえることになった。広場では民衆が「神の裁きの日が始まる! Zacina se den Pane!」と歌いながら、ティーン教会に向けて行進して行く。

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