【あらすじ】
時と所:1572年・モスクワ及び郊外のアレクサンドロフ村
第1幕/グリャズノイ邸 
皇帝側近の親衛隊員であるグリャズノイは、ノヴゴロドの商人ソバーキンの娘マルファに想いを寄せ求婚したが、既に彼女には昔馴染みの許婚がいると、彼女の父であるソバーキンにこれを断られた。昔は力づくで女性達をものにしてきた雄々しい自分が、この失恋によりすっかり骨抜きになってしまったことを嘆き、グリャズノイは「かつての雄々しさはどこへ消えた Kuda ty, udal' prezhnyaya devalas'」と歌う。そこへグリャズノイの仲間達が集まってきて、宴会が始まる。グリャズノイの親友マリュタを始め、その他の親衛隊員達、医師のボメーリー、そして中にはグリャズノイの想い人マルファの婚約者、ルイコフの姿もあった。ドイツから帰国したばかりのルイコフは、外国での素晴らしい話を皆に披露する。皆は皇帝を讃え、歌い、乾杯した。宴もたけなわとなり、グリャズノイの親友マリュタが、娘達の歌と踊りが見たいと言い出した。彼は踊りが終わると、今度はカシーラ人から強奪してきた娘、リュバーシャの歌が聴きたいと言う。彼女はグリャズノイの愛人であるが、マリュタが洗礼名付親となっている。呼ばれたリュバーシャはマリュタに「ようこそ名付親のお父様」と挨拶をすると、美しい声で歌い始めた。皆は彼女の歌に感動し、すっかり満足し帰って行った。ただ一人医師のボメーリーだけは、グリャズノイに残るよう言われた。それを不審に思った愛人のリュバーャは、そっと身を隠し二人の様子を窺った。どうしても商人の娘マルファのことが諦められないグリャズノイは、友達のためだと嘘を言って、医師のボメーリーに惚れ薬を頼んだ。ボメーリーは「自分自身で相手の飲み物に薬を入れ、飲む時に相手の目の前にいるのならば効く薬がある」と言った。グリャズノイはその薬に大金を払う約束をし、帰って行く彼を見送った。二人の話を聞いたリュバーシャは、グリャズノイの心変わりを確信し「私は家族も故郷も捨てて来たのに、あなたは最近冷たい。私に飽きてしまったのか!」とグリャズノイを責める。彼は冷たくこれをあしらい、礼拝へと出かけてしまう。リュバーシャは嫉妬の炎を燃え上がらせ、グリャズノイと相手の女との仲を引き裂く決心をする。
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