第2幕/アレクサンドロフ村のソバーキン邸
秋の夕暮れ、祈りを終えた人々が修道院から出てきて、皇帝の花嫁選びの噂をしたり、医師のボメーリーの家から出てきた人に「あいつは魔術師だから貰った薬は捨てた方がいい」などと忠告したりしている。親衛隊員も通りかかる。商人ソバーキンの娘マルファと、家政婦のペトローヴナ、友人のドゥニーシャも修道院から出てきた。マルファとドゥニーシャは家の前のベンチに座り、父ソバーキンの帰りを待っていた。その間マルファは、婚約者ルイコフとの馴れ初めをドゥニーシャに語った。そこへ側近と共に皇帝が通りかかり、驚くマルファ達をよそに、マルファの顔をじっと見つめ去って行った。マルファはその恐ろしい眼に圧倒された。そのうち父が婚約者のルイコフと共に帰って来たので、皆は家の中に入って行った。その頃、親衛隊員グリャズノイの愛人リュバーシャは、グリャズノイが夢中になっている女の顔を一目見ようと、こっそりとマルファの家の中を覗きに来ていた。そしてマルファの美しさを見て、益々嫉妬に身を震わせた。リュバーシャはマルファの家のすぐ向かいにある、医師ボメーリーの家を訪ねると、人の顔を徐々に醜くし、衰弱させていく薬はないかと尋ねる。ボメーリーは薬の代金を宝石ではなく、リュバーシャ自身ならばこれを引き受けると言う。一度は断るリュバーシャだったが、このことを愛するグリャズノイにばらすと脅されたうえ、向かいの家からはマルファの楽しそうな笑い声が聞こえてきたので、意を決して薬を注文することにした。ボメーリーが薬を作りに部屋へ入ると、リュバーシャは「何ということになったのだろう! Votdo chevo ya doshla」と困惑する気持ちを歌った。村の通りでは酔った親衛隊員達が、多くの騎士達と共に行列を成し通り過ぎて行った。
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