第3幕/広間
 大晦日。屋敷は久しぶりのパーティーで賑わっていた。玄関ホールでは酔った老医師が、客のコートを整理している使用人に楽しげに話し掛けている。そこへヴァネッサがやって来て「母とエリカがいないので呼んで来てくださる?」と医師に頼み、彼は二階へと上がって行く。そこへアナトールが現れるので、ヴァネッサは「私に何か隠していない?」と疑いの言葉を掛けると、彼は「過去なんてどうでもいいじゃないか!」と彼女にキスをし、「愛には苦い芯の部分もあるさ Love has a bitter core」と歌いながら彼女を抱き締める(二重唱となる)。広間での踊りが一段落した頃、二階から真っ白いドレスを着たエリカが降りて来るが、ちょうどその時ヴァネッサとアナトールの婚約が発表され、エリカはショックで倒れてしまう。すぐに意識を取り戻した彼女は、心配して駆け寄る使用人たちに「大丈夫だから一人にしてちょうだい」と言うと、そっと雪の降る外へ出て行った。彼女はアナトールの子供を身籠っていた。広間は祝いのムードで盛り上がる。男爵夫人はエリカが出て行く姿を見付け、思い切り彼女の名を叫んだ。
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