【あらすじ】
時と所:1428年・フランスのベリー州
第1幕
第1場/伯爵家の城内の広間
ヴェルジー伯爵は子供ができないという理由で夫人ジェンマとの離婚を一方的に決め、既に済ませてしまった離婚手続き完了の知らせすらも、射手ローランドに妻への伝言を命じた。それを聞いたジェンマの従臣グイードは、この非情な事実をどう彼女に伝えようかと悩み、家臣たちと共に神に祈りを捧げる。ところが密かにジェンマを想う従僕のタマスだけは伯爵への怒りを露わにし、元々身分の低いタマスを快く思っていなかった射手ローランドと激しい言い争いとなってしまう。そこへ何も知らないジェンマが現れ二人の喧嘩を仲裁をすると、城へ戻った伯爵を出迎えに行こうとするので、皆はその場を立ち去りグイードは意を決してジェンマに真実を伝える。嘆き悲しむジェンマを連れグイードがその場を立ち去ると、そこへ血の付いたナイフを持ったタマスが現れる。射手ローランドを殺してしまったタマスはジェンマと共に逃げようと決め、足早にその場を去る。その後血の付いたナイフを見た伯爵はジェンマが自殺を図ったのかと思いショックを受けるが、タマスがローランドを殺めた物だと知ると、すぐさまタマスを捕えるよう命じる。
第2場/法廷の場
 射手ローランドを殺した罪で尋問を受けるタマスは、父親を殺したローランドをもう十年にも渡り恨み続け、復讐の機を狙っていたのだと告白する。その心情を分からないでもないと、伯爵は死罪の免除も考えるが、タマスはジェンマを想う余り伯爵への恨みや復讐をも口にしてしまい、怒った伯爵に死罪を言い渡される。ところが殺されるくらいならば潔く自害するとタマスが兵士の剣を奪うので、やって来たジェンマが慌ててこれを止める。タマスを助けるよう懇願するジェンマに、彼女の不遇を哀れに思う伯爵は刑を取り消すが、「いかなる場所へでも子宝祈願の礼拝に赴くので、どうか離婚は思い留まってほしい」と言うジェンマの願いは聞き入れられず、伯爵は新妻イーダの元へと行ってしまう。ジェンマは怒りと悲しみで体を震わせる。そんな彼女を見るタマスもまた伯爵への激しい憎悪を燃え上がらせ、再び伯爵への復讐を誓う。
by Ikumi

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