〈第1幕〉
フンディングの館の室内。
第1場:激しい嵐の夜、戦いに疲れた男が館に飛び込んできて倒れる。その家の女が男を見つけて介抱する(男が水を飲むときのチェロ独奏が美しい!)。男と女は、ひと目で惹かれ合うものを感じるが、男は不幸を持ち込まないようにと、すぐに去ろうとする。しかし女は、ここにはすでに不幸があると言うので、男はみずからヴェーヴァルト(悲哀を守る者)と名乗り、主人のフンディングの帰りを待つことにする。
第2場:帰宅したフンディングは男の身の上話を聞くうちに、彼が自分の敵であることを知るので、掟に従って一夜の宿を提供し、翌日決闘をするよう言い渡して、妻と共に寝室に消える。
第3場:ひとり残された男は、父ヴェルゼ(実はヴォータン)が約束してくれた武器のありかを問う(二度の「ヴェルゼ!」の叫び)。男が眠ろうとすると、フンディングの妻が忍んでやってきて、「一族の男たちが」と身の上話をし始めた。フンディングとの婚礼の際に、ひとりの老人(実はヴォータン)が現れて、その場にあるトネリコの木に剣を突き刺していったが、誰も抜くことができなかったという。女は、その剣が男のものだと直感した。二人は言葉を交わすうちに互いに愛が目覚め(ジークムントの愛の歌「冬の嵐は過ぎ去り」と、それに応えるジークリンデの「あなたこそ春」)、やがて自分たちが、幼いころに行き別れた双子の兄妹であることに気がつくが、燃え上がった愛の炎は止まらない。女は男をヴェルズング族のジークムントの名で呼ぶと、彼はトネリコの木に刺さった剣をノートゥングと名づけて、これを見事に引き抜く。女は自分が妹のジークリンデであることを明かし、兄の花嫁になることを宣言する。ジークムントが「ヴェルズングの血に栄えあれ!」と叫び、二人はフンディングの館から逃亡する。
(C) 吉田 真
第2幕へ
もどる
オペラ名曲辞典TOP