〈第3幕〉
岩山の頂上。
第1場:8人のワルキューレたちが天を駆ける馬に乗って「ホ・ヨ・ト・ホー」と声を上げ、次々と集まってくる(「ワルキューレの騎行」の音楽)。やがて姉のブリュンヒルデがジークリンデを連れ、愛馬グラーネに乗って凄い勢いで飛び込んでくると、妹たちに助けを求める。夫である兄ジークムントを失って絶望したジークリンデは自分を殺してほしいと言うが、ブリュンヒルデから自分がジークムントの子供を宿していることを聞くと、とたんに生きる希望が湧いてくる。ブリュンヒルデが、やがて生まれてくる子供をジークフリートと名づけると、ジークリンデは愛の奇蹟を讃え(壮大な「愛の救済の動機」)、夫の形見である剣ノートゥングの破片を持って森の奥地へと逃れる。
第2場:ヴォータンが大変な剣幕で登場。うろたえるワルキューレたちを追い払い、ブリュンヒルデに罰を与えると宣告する。
第3場:ブリュンヒルデは、自分が命令に背いたのは父ヴォータンの本心を知っていたからだと訴えるので、ヴォータンも次第に心を動かされてくる。神々の長ヴォータンは、愛娘ブリュンヒルデをヴァルハル城から追放し、神性を奪って無防備なまま眠らせ、彼女を行きずりの男のものにすると言うが、ブリュンヒルデの願いを聴き入れて、眠る彼女のまわりに火を放ち、臆病者は近づけないようにすることを承知する(ここから〈ヴォータンの告別と魔の炎の音楽〉。「さらば、勇ましく、すばらしいわが子よ!」と、ヴォータンはブリュンヒルデを抱きしめ、彼女の眼に接吻して眠らせる。そして火の神ローゲを呼び出し、彼女のまわりを炎で囲ませる。「わが槍の切っ先を恐れる者は、けっしてこの炎を踏み越えるな」という言葉を残してヴォータンは退場する。(幕)
(C) 吉田 真

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